1947年(昭和22年)-現在
愛媛県出身のイラストレーター、デザイナー。
広告代理店への就職を経て、1971年にフリーランスのイラストレーターへ転身した。
女性とロボットをモチーフにした作品が有名。SONYの犬型ロボットAIBOのコンセプトデザインを手掛けたことで、一般に広くその才能が知られることになった。
生い立ち
空山基が生まれたのは、1947年の愛媛県今治市です。愛媛県立今治北高等学校を卒業後、1965年に四国学院大学文学部英文科へ入学。
大学では英文学を学んでおり、当時はまだイラストレーターとして独立する考えはありませんでした。在学中に美術への興味が高まり、1967年に中央美術学園へ入学し、現代アートを学びます。
1969年に中央美術学園を卒業、広告代理店へ入社しました。しかし1971年に退職し、フリーランスのイラストレーターとして独立します。
1978年から制作を始めた『セクシーロボット』シリーズで、空山基作品の写実性やデザイン性の高さが世界から注目されるようになります。
ロボットのメタリックな質感とモチーフの鮮烈さから注目を集め、SONYの犬型ロボット『AIBO』のコンセプトデザインを手掛けました。AIBOは経済産業省のグッドデザイン賞グランプリや、文化庁のメディア芸術祭グランプリを受賞しました。
さらに2001年には、初代AIBOが朝日新聞発明賞を受賞。その他にも、CDアルバムのジャケットや文庫書籍の表紙イラストなどを担当したこともあります。
空山基の作品はアートではない?
空山基は自身の作品をアートとは位置付けず、ピンナップと考えています。
ピンナップとは、壁にピンでとめて飾る写真やポスターのことです。もともとは20世紀のアメリカで生まれた俗語で、当時は女性のセミヌード写真が多かったといいます。
女性型ロボットを描き、絵画というよりもポスターに近い空山基の作品は、アートではなくピンナップと考えると、確かに納得がいきます。
空山基の作品にストーリー性はなく、その1枚の中で完結するピンナップガールを描いているとしたら、アーティストよりもイラストレーターに分類されるのかもしれません。
空山自身から「アートという言葉が嫌い」との発言もあるため、彼の作品をあえてカテゴライズするならピンナップに入るのではないでしょうか。
作品の特徴とその魅力
空山基の作品は、女性型ロボットをモチーフにしたものが有名です。
『セクシーロボット』シリーズと呼ばれ、女性の体型美をロボットで表現しています。なかには、過激な表現を含む作品も制作しており、物議を醸すこともあります。
モチーフとなる女性ロボットは服を身に付けていることも多く、表情も豊かです。スカートを押さえるマリリン・モンローを彷彿とさせる作品も多数制作しています。
シリーズには、女性型ロボットだけでなく、犬型ロボットも登場するのが多いことも特徴です。ここからAIBOの着想を得たのかもしれません。
空山基の作品は、ロボットの冷たい金属感や、光沢を写実性豊かに表現しているのが魅力です。細やかな筆遣いとデザイン性の高さが、評価されています。
ロボットの無機質さだけでなく、表情や体の火照りなども感じられる作品が特徴です。
また、性をテーマにしたイラストだけでなく、未来をイメージさせる彫刻作品やイラストも発表しています。恐竜をモチーフにする作品も多く、古代の生き物を未来的に描いています。
イラストレーター・空山基の描く女性美
空山基は、ロボットをモチーフにした作品で有名なイラストレーターです。
特に『セクシーロボット』シリーズでは、女性型ロボットをモチーフに、女性の肉体や性を描いています。ロボットや布の質感や反射光など、高い写実性を誇る作品が魅力です。
『セクシーロボット』シリーズにも多く登場するのが、犬型ロボット。SONYの犬型ロボットAIBOのデザインを手掛けたことも頷けます。
ロボットを多く描いていることからも、未来的メッセージが込められた作品も多くあります。恐竜をモチーフにした作品も多くあり、過去と未来を融合させる発想も高い評価を受けている理由でしょう。
空山基のイラストは高い写実性だけでなく、モチーフとなる女性の肉体美も特徴です。アクロバットな体勢を描くことも多く、体のしなやかさも表現しています。
女性型ロボットとともに、多く描かれるモチーフは鎖です。女性を捕えてつなぎ止める鎖は、女性の美しさをことさら深めているようにも見えます。
空山基の作品は、アートよりもピンナップの思想に近いのかもしれません。
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