中国美術唐物黒漆香合 買取実績

買取品名
中国美術唐物黒漆香合
買取エリア
岩手県盛岡市
買取額

コメント
中国美術唐物黒漆香合を買取させて頂きました。

唐物黒漆香合の概要


唐物黒漆香合(からものくろうるしこうごう)は、中国明・清代の輸出品として日本に渡来した黒漆塗りの香合(こうごう)で、香道具としての実用性のほか、漆面の深い艶とおおらかな造形美が評価される骨董品です。唐物とは中国本国で作られた正統品を指し、日本製の写しとは一線を画します。



歴史的背景と伝来


黒漆香合は、宋元時代に形作られた香道具の系譜を受け、明代永楽〜万暦期に盛んに製作されました。江南地方の漆工房で大量生産された後、17〜18世紀には日本の輸入商人を通じて茶会や香席向けの高級道具として輸入され、江戸初期の豪商や大名家の蒐集家たちに珍重されました。



素材と下地処理


香合本体は桐や楠などの軽木を木地とし、何層もの地粉漆(とい粉と生漆の混合漆)を塗り重ねた後、木目を埋めて研ぎ出します。その上に黒漆を厚く掛け、研ぎ・研ぎを繰り返して滑らかな鏡面を作り上げます。地粉漆の研ぎ跡や漆層の厚みが、唐物ならではの質感を生み出します。



造形と意匠


形状は円筒形や小判形、箱形など多様ですが、いずれも蓋と身が精緻に噛み合う精巧な仕上げが特徴です。装飾は最小限にとどめ、漆の光沢と漆面に浮かぶわずかな「刷毛跡」や「研ぎ跡」を愛でる趣向が本式。蓋摘みは玉形や花形、一文字形など、持ちやすさと意匠性を兼ね備えています。



唐物と日本写しの違い


唐物は漆層の厚みが均一で、研ぎ出しによる鏡面に深みがあります。さらに蓋と身の合わせ面にわずかな緩衝漆(はみ出し)や桟漆(合わせ補強)が見られ、正統な「組漆」技法が用いられています。日本写しは漆層が薄く、合わせ面が隙間なくカンナで整えられる点で識別できます。



真贋鑑定のポイント


真作判定では、木地の軽さ・節目の有無、地粉漆の下地研ぎ跡、黒漆層の厚みと研ぎ面、蓋と身の噛み合い具合を詳細に観察します。蓋摘み裏の鏨(たがね)跡や蓋縁に残る研ぎ粉、蓋裏の地粉の色変化も重要な真贋要素です。



市場価値と価格帯


状態良好な唐物黒漆香合は30万~100万円程度が相場。漆面に微細な欠損や研ぎすぎがない完全品は100万~300万円で取引されることもあります。共箱や添付の古書付があれば価格はさらに上乗せされます。



保存・取り扱いの注意点


漆器は直射日光や高温多湿を嫌い、乾燥によるヒビ割れや剥落を招くため、温度20℃前後・湿度50%前後の安定環境で保管してください。埃は柔らかな馬毛筆で優しく払い、化学薬品や水拭きは厳禁です。



香席での使い方と鑑賞


香会では、炉縁や香台に黒漆香合を置き、蓋を開けて香木を収納。蓋を閉じた漆面に香炉灰の粉が舞い落ちる趣もまた侘びの一興です。香合と香炉・香台の漆合わせを意識し、茶道具同士の調和を楽しむことが大切です。



コレクション性と文化的意義


唐物黒漆香合は、漆工芸の黄金時代を伝える資料として学術的価値が高く、日本の茶道具文化にも多大な影響を与えました。同形異款を複数蒐集し、技法や合わせ面の違いを比較することで、漆工芸の歴史と技術変遷を追体験できます。



まとめ


中国美術唐物黒漆香合は、漆下地から黒漆鏡面までの高度な技術と、香道具としての実用性を兼ね備えた骨董品です。素材・技法・製作痕・来歴・保存状態を総合的に鑑定し、適切に管理することで、その歴史的・美術的価値を末永く次世代へと継承できます。



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