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竹細工作家物とは、伝統的な竹工芸技術を基礎に、現代の工芸作家が独自の意匠と技法を盛り込んで制作した一品物の竹工芸品を指します。花籠や茶筅筒、燈籠、扇子立、文台など多岐にわたる用途があり、素材の持つ軽やかさと自然美を活かした優雅な造形が特徴です。
良質な淡竹・真竹・虎竹を厳選し、節間の長さ、径、竹ヒゴの幅を用途に応じて使い分けます。採取後は天日乾燥して割れを防ぎ、防虫・防カビ処理として燻煙や柿渋塗布を施します。下処理の丁寧さが仕上がりの美しさに直結します。
竹ヒゴを用いた編組技法には、網代編み、二重網代、亀甲編み、菊籠編みなどがあり、作家はこれらの基本技法を組み合わせて新たな文様を生み出します。立体的な曲面や自由曲線を表現するには、高度な竹打ち出しや竹割り技術が必要です。
代表作家には、田辺竹斎、山田松園流・松岡成美、永田宗悟、細井竹泉などが挙げられます。各作家は師匠筋の流派技法を守りつつ、現代的なミニマルデザインや有機的造形を追求し、国際的な展覧会でも高い評価を受けています。
作家物には底面や内側の竹地に作家の落款印や銘札が取り付けられます。また、仕覆や共箱に作家名・制作年・作品名が記されることが多く、来歴証明として重要です。偽作は銘印の版ズレや筆跡の稚拙さで見分けることができます。
無銘の民藝調竹籠は数万円~十万円台、著名作家の新作花籠や茶籠は数十万円~百万円超が相場です。希少技法の大作、国際展出品作は数百万円規模となり、美術館収蔵レベルとしても取り引きされます。
竹工芸は、素材の構造美と手仕事の痕跡が鑑賞ポイント。照明による編目の陰影や、竹肌の節色・光沢を楽しめます。ガラスケース越しの照明展示や、茶席での実用展示、床の間飾りとしても調和し、空間に軽やかなアクセントを加えます。
竹工芸は湿度変化に弱く、過乾燥で割れ、過湿でカビや虫害が発生します。温湿度は20℃前後・湿度50%前後を維持し、埃は柔らかな馬毛筆で払う程度に留めます。直射日光やエアコン直吹きを避け、定期的に仕覆袋へ収納してください。
竹細工作家物は、伝統技法と現代美意識が融合した希少な工芸品です。素材・技法・作家印・来歴を総合的に鑑定し、適切に保存管理することで、その美術的価値と文化的意義を次世代へ継承できます。
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