船乗大黒 買取実績

買取品名
船乗大黒
買取エリア
神奈川県川崎市
買取額

コメント
船乗大黒を買取させて頂きました。

船乗大黒の概要


船乗大黒(ふなのりだいこく)は、大黒天が宝船に乗って航海する姿を表した民間信仰の工芸品です。大黒天は福徳をもたらす七福神の一柱であり、米俵を背負い打出の小槌を振るう姿が一般的ですが、船に乗せることで商売繁盛・海上安全・家内安全を願う意匠が加わります。



歴史的背景と信仰


江戸時代後期以降、廻船業や漁業の隆盛とともに船乗大黒像が各地で作られるようになりました。北海道から瀬戸内海沿岸、北陸の漁村まで、海運関係者や海沿いの町人が航海の安全と大漁祈願を込めて祀り、床の間や船宿に置かれました。



造形と意匠の特徴


船乗大黒は、船尾に座す大黒天と、前部に宝珠や米俵を積んだ宝船を組み合わせた形式が多いです。大黒天の顔には満面の笑みが刻まれ、打出の小槌は小型化されて船内に納められるか、手に軽く持たれる場合があります。船底には龍虎文や波文を浮彫りし、航海守護を象徴します。



主な素材と制作技法


素材は木製(欅・檜)・陶磁器(張り子・灰釉陶)・石膏(粉彩顔料塗装)・青銅(鋳造・鍍金)など多様です。木彫像は寄木造りに彩色を重ね、陶製品は素焼き後に上絵付け、青銅像は鋳型からの失蝋鋳造後に打ち出し・鋳出し文様を仕上げます。



様式と地域差


関東地方では彩色張り子の人形が多く、大阪・堺では陶製の切立型像、瀬戸・常滑では灰釉陶の素朴な素地現し像が見られます。北陸の山中温泉周辺では木彫像に金箔押しを施す豪華版が、漁村では漆塗り・錦彩の小型舟形が人気です。



真贋鑑定のポイント


真作は、木地の年輪や彫り跡、素地の肌目、彩色層のひび割れ(虎斑)、上絵具の発色ムラが自然です。陶製は釉垂れや窯疵、底部の素焼き段差、鋳造青銅は鋳巣や金鍍金の経年剥落具合を確認。底裏の銘印・刻印、「大黒天」「宝船」などの墨書があるかも重要です。



市場価値と価格帯


無名作の小型張り子は数千円~数万円、江戸期木彫高彫像は数十万~百万円台、名工の青銅鍍金像や古瀬戸陶製は百万円以上で取引されます。共箱や来歴・古録に記載がある完品はプレミア価格となり、海外コレクターからの需要も高まっています。



コレクションとしての魅力


船乗大黒像は、七福神の祥瑞と航海安全を合わせ持つユニークなテーマが魅力です。複数点を並べて地域や時代の様式を比較したり、床飾りや玄関飾りとして福徳と安全を祈願したりすることで、趣ある民間信仰工芸の世界が広がります。



保存・取り扱いの注意点


木製・張り子は湿度変化で割れや剥離が生じやすく、陶磁器・青銅は温湿度と埃、塩分に注意が必要です。展示は直射日光を避け、温度20℃前後・湿度50%前後の安定環境を維持。埃は柔らかな筆で払う程度にとどめ、必要に応じて専門家による保存修復を検討します。



まとめ


船乗大黒は、航海安全と商売繁盛を祈願する民間信仰を具現化した骨董品です。素材・技法・意匠・来歴を総合的に鑑定し、適切な保存管理を行うことで、その歴史的・文化的価値を次世代へ伝承できます。



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