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簪(かんざし)・櫛(くし)は、女性の髪飾りとして古くから用いられてきた和装小物です。木、象牙、べっ甲、竹、金属など多様な素材に彫刻や蒔絵、螺鈿、金銀象嵌を施し、髪型を整える実用性と装飾性を兼ね備えます。骨董品としては、素材の希少性、装飾技法、作家銘、意匠、保存状態、来歴資料の六要素が評価を左右します。
簪や櫛は平安時代に髪飾りとして登場し、鎌倉・江戸時代に装飾技術が成熟。江戸後期には町人文化の華やぎとともに多種多様な意匠が生まれ、明治・大正期には輸出用蒔絵螺鈿櫛など西洋の需要にも応えました。女性の地位向上とともに装飾性が高まり、茶道具や舞妓道具としても重用されました。
意匠には桜・梅・菊・流水・松竹梅など吉祥文が多用され、花鳥・風景文を立体的に描く「高蒔絵」や螺鈿で光を反射させる技巧が見どころ。簪は一本簪・二本簪・簪組みなど形状バリエーションが豊かで、櫛は平櫛・丸櫛・江戸櫛などが存在します。
無銘木製櫛は1万~5万円、象牙一本簪は10万~30万円、螺鈿蒔絵櫛は20万~50万円、作家物有銘の金銀象嵌簪は50万~150万円が相場です。人間国宝級作者や名家伝来品は200万円以上となる場合もあります。
漆や貝片、象牙は乾燥や湿度変化に弱いため、湿度50~60%・室温20℃前後の安定環境で保管。直射日光や乾燥エアコン風を避け、埃は柔らかな刷毛で軽く払う。鼈甲はアルコール・研磨剤を避け、房は直射日光で色褪せないよう注意します。
簪・櫛は、素材・技法・作家銘・意匠・保存状態・来歴資料の六要素が揃うことで骨董的価値を最大化します。女性の装いを彩るだけでなく、日本の工芸技術の結晶として、和装愛好家や骨董コレクターから今後も高い評価を受け続けることでしょう。
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