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宣徳年製象嵌古銅香炉は、中国明朝宣徳年間(1426–1435)に鋳造された古銅製の香炉で、銀・銅・金の象嵌細工を施した逸品です。宣徳銅器はその鋳造技術や銅合金の配合が最高水準とされ、仏堂や宮廷で儀礼用に用いられました。経年の自然な銀青銅色と象嵌文のコントラストが醸し出す風格は、骨董品市場で極めて高く評価されます。
宣徳年間は明朝中期の黄金時代で、銅器鋳造技術が飛躍的に発展しました。宮廷の御用鋳物師が専属で製作し、佛具・文房具・調度品など多岐に渡る銅製品が生み出されました。宣徳香炉は仏前に供える香を焚く器具として重視され、他の時代に比べ鋳肌が細かく、象嵌技法の完成度も格段に高いとされます。
本香炉は銅90%・錫10%の硬質合金を用い、失い型鋳造(ロストワックス法)で原型を得た後、表面を丹念に研磨。銀象嵌は銀線を彫込みに埋め込み、金象嵌は金粉と漆を用いた「金泥象嵌」で文様を彩ります。鋳型継ぎ目や湯口跡がほとんど残らない精緻さは、宣徳銅器の技術力を物語ります。
胴部には雲龍文や唐草文が浮彫・透かし彫りで施され、銀象嵌で龍の鱗や雲気が繊細に描き出されます。蓋には宝珠形の摘みを備え、周縁には瑞獣(麒麟・鳳凰)を象嵌。蓮弁形の三足台座は蓮華台を模し、仏具としての神聖性を強調します。文様の配置は天地人の調和を念頭に置いた均整の取れたデザインです。
真作宣徳年製香炉は、保存良好・象嵌完備で500万~1,500万円以上の評価が一般的です。象嵌欠落や緑青過剰の場合は相場の半値以下に下がることがあります。鑑定書付・旧蔵家明確品はさらに高額取引されます。
古銅香炉は湿度変化や酸性大気に弱いため、室温20℃前後・湿度40~60%の環境で保管。埃は柔らかな刷毛で払い、化学薬品・研磨剤は厳禁。必要に応じて専門家による軽度の緑青除去・防錆処理を行うと、銅肌と象嵌の美しさを長期間保てます。
宣徳年製象嵌古銅香炉は、年款、鋳造技術、象嵌精度、合金の景色、保存、来歴の六要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。中国銅工芸の最高峰として、コレクターや美術館、研究者から今後も高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。
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