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オールドノリタケ(Old Noritake)のティーカップセットは、明治末期から大正時代にかけて日本陶器株式会社(後のノリタケカンパニーリミテド)が欧米市場向けに製造した高級西洋磁器です。白磁に繊細な金彩や色絵を施し、エレガントな形状と技術力の高さを示す逸品として知られています。
1904年に創立された日本陶器は、欧米向け洋食器製造を開始。1900年代~1920年代にかけて“Old Noritake”銘を用い、その品質とデザインで欧米貴族・上流階級に高く評価されました。戦後まで続いたこの時期の製品は、「オールドノリタケ」として骨董市場で人気が高まっています。
胎土には高品質な白磁土(瓷石を含む)を使用し、轆轤や型吹きで成形。素焼き後、透明釉をかけて本焼成(約1,260℃)。引き続き、金彩や宝飾的色絵(ガーネットレッド、ターコイズブルー、エメラルドグリーンなど)を上絵付し、低温焼成で定着。手描きの金彩ラインや花文様は熟練絵付師の筆捻りによるもので、精緻さが評価されます。
カップはゆるやかに開くリムラインと、細身のスワンハンドルを特徴とし、ソーサーは浅い皿形で、カップとのバランスを重視。文様はロココ趣味の蔓草文、アール・デコ調の幾何学文、ペルシャ風モチーフなど多彩。縁周りやハンドルに施された金彩が高級感を際立たせます。
無傷・共箱付きの6客セットは30万~60万円、単品カップ&ソーサーは5万~10万円が相場。金彩の豪華さや希少デザイン品(限定柄・手描き文様)は10万~20万円以上となる例もあります。
磁器は急激な温度変化を避け、食洗機は不可。手洗い後、柔らかな布で水分を拭き取り、金彩部を強く擦らないよう注意します。直射日光を避け、湿度50%前後・室温20℃前後の安定環境で保管してください。
オールドノリタケのティーカップセットは、銘印、素材、製法、意匠、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで骨董的価値を発揮します。日本洋食器技術の黎明期を示す逸品として、陶磁コレクターやインテリア愛好家から今後も高い評価を受け続けることでしょう。
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