Menu
本コレクションは、中国・日本・東南アジア各地の窯で焼成された陶器製仏像数点を集めたものです。阿弥陀如来、観音菩薩、地蔵菩薩、毘沙門天など多様な仏尊像が含まれ、素朴な素地仕上げから彩色・金彩を施した上絵付まで、窯元や時代による技法の違いが一目でわかります。骨董品としては、制作年代、素材・釉薬、造形・彫技、意匠の特色、保存状態、来歴資料の六要素が評価の要点となります。
日本では平安時代に陶製仏像が輸入・製作され始め、鎌倉・室町期には民間用信仰具として各地の窯で量産。中国唐宋・元明清各代の陶磁仏も、朝鮮・ベトナムを経て日本へ影響を与えました。江戸期以降は輸出陶磁器にも仏像形象が増え、信仰と交易の交差点として陶器仏像は多彩なバリエーションを生み出しました。
素材は白磁、青磁、黄瀬戸、唐津陶、伊万里磁器など多岐。素地は高温焼成に耐える陶土や瓷石土で、窯変や貫入を景色とするものもあります。制作は轆轤成形後の手彫り仕上げ、型押し成形に施釉・上絵付、素焼き後の彩色・金彩焼成など複数の工程を経て完成。高温下での釉薬の流動や焼き締めが技術の違いを際立たせます。
像容は蓮華座に結跏趺坐、あるいは宝珠・錫杖を手に立像・坐像、多種多様。平安期の写実的肖像彫刻風、鎌倉期の力強い肉彫的造形、室町の簡略化された禅僧像、江戸後期の華麗な上絵付仏像など、流派・時代ごとに表情や衣文の彫り口が異なります。彩色例は、赤・緑・黄を用いた唐三彩写し、染付青磁地に白泥彩文などが見られます。
無銘素地陶像は数万円から、江戸後期の上絵付仏像は10万~30万円、平安・鎌倉期の写実仏・高麗陶仏写しなど希少品は50万~200万円、宋・元代の中国仏像写しや初期伊万里製仏像は300万円以上が相場です。来歴と保存の良否が価格を大きく左右します。
陶器仏像は落下や衝撃で欠損しやすいため、展示台やガラスケース内での保管を推奨。埃は柔らかな毛筆や刷毛で軽く払うのみとし、湿度30~60%・温度20℃前後の安定環境で管理。彩色像は直射日光を避け、補修跡がある場合は専門家による修復を受けると長期保存に適します。
陶器仏像数点は、制作年代、素材・釉薬、造形・技法、彩色、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。信仰の対象であると同時に、陶芸技術の歴史と文化交流を伝える美術工芸品として、コレクターや美術館、研究者から今後も高い評価を受け続けることでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。