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青銅香炉は、銅に錫や鉛を加えた青銅合金製の香炉で、仏前や書斎、茶席などで香を焚くために用いられます。緑青(ろくしょう)に覆われるまでの経年変化が景色となり、鋳肌や彫刻意匠と相まって唯一無二の風合いを醸し出します。骨董品としては、鋳造年代、造形意匠、鋳肌の古色、錆・緑青の進行度、来歴資料が評価のポイントです。
青銅香炉の起源は中国・唐宋時代にさかのぼり、日本では平安期の密教儀礼用具として採用されました。鎌倉以降は禅宗寺院での使用が広まり、室町期には高僧自筆銘や寺印入りの名品が生まれました。江戸期には京都・大阪の鋳物師が技法を継承し、江戸商人や大名邸の調度品としても好まれました。
青銅合金は銅80%・錫15~20%・鉛数%が基本配合。砂型鋳造や失い型鋳造(ロストワックス法)で粗型を得た後、金鎚(かなづち)やノミで鋳肌を均し、鎚目文や彫刻を施します。鋳型継ぎ目や湯道跡が残るほど古手とされ、鋳肌の自然な凹凸が評価されます。
香炉形は鼎形(ていけい)、瓶形、亀文形など多様。蓋には透かし彫りで龍・鳳凰・蓮華文を配し、本体には雷文(たいもん)や雲龍文を鋳出。火袋(炉口)は香炭の燃焼を調整するため二段式の穴あきが基本で、把手や摘みも動物や蓮弁をかたどる装飾性が高いものが多いです。
唐宋・元代の真作級香炉は数百万円~数千万円。江戸期名匠作や寺院旧蔵品は100万~300万円、日本近代鋳物師作は50万~150万円が一般相場。緑青景色と意匠の完成度が高いものほど高額になります。
過度な緑青の進行は金属を弱らせるため、湿度50%前後・室温20℃前後の安定環境で保管。埃は柔らかな筆で払い、化学薬品や研磨剤は避けます。必要に応じて薄く防錆油を塗布し、来歴書類と共に密閉容器で保管すると良好です。
青銅香炉は、鋳肌・意匠・緑青・保存状態・来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値を発揮します。東洋金属工芸の歴史と技術を体現する逸品として、コレクターや寺院美術研究者から今後も高い評価を受け続けることでしょう。
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