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初代三浦竹泉(1853–1915)は明治期に京都五条坂で活動した京焼の陶工で、染付や祥瑞、色絵など多彩な技法を得意としたことで知られます。若年より高橋道八に師事し、1883年に独立して独自の作陶世界を築き上げました。彼の作品は伝統的な京焼の雅と、西洋の色彩感覚を取り入れた革新性を併せ持つ点が評価されます。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
三浦竹泉の染付茶碗は、乳白地に藍藍とした染付線描が冴える仕上がりが特徴です。文様は古典意匠の竹・花鳥・祥瑞を基調にしつつ、線の強弱や濃淡で立体感とリズムを出す筆致が目を引きます。また、透明紋や金襴手などの実験的技法を併用する例もあり、同時代の京焼にはない個性を示しています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
染付は藍色顔料(コバルト)による下絵付けを素地に施し高温で焼成する技法で、三浦は下絵の描線を生かす薄釉と胎土の選定に優れていました。口縁や高台の処理、釉掛けの厚薄による「景色」が茶碗ごとに異なり、窯変や貫入の入り方が作品ごとの個性を生み出します。高台裏の轆轤痕や落款、箱書も重要な鑑定資料です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
真贋では胎土の質感、藍の発色(酸化還元による濃淡)、筆致の自然な揺らぎ、釉裏の貫入や高台の仕上がりを詳細に観察します。後補や賦彩の有無、底の書き込み(落款)や共箱の墨書も重視されます。模刻や近代の写しは筆致が均一で絵付けの力感に欠けることが多いため、素地側面からの総合観察が不可欠です。
三浦竹泉の染付茶碗は骨董市場でも流通量が比較的多く、作品の状態・共箱の有無・作行きで価格差が大きく出ます。近年のオークションや中古市場では数万円帯から高く評価される作例は十数万円〜百万円台に至る例も見られ、特に保存良好で来歴が明確な品は高値が付く傾向にあります。購買・売却時は直近落札例の照合が重要です。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
染付磁器は急激な温度変化や強い衝撃に弱く、洗浄時は中性洗剤で手洗いすること。金彩や上絵がある場合はさらに慎重に扱い、錆や汚れは無理に磨かず乾拭きで落とすのが基本です。共箱や添え状は来歴の重要資料なので、作品と合わせて保管してください。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
初代三浦竹泉の染付茶碗は、京焼の伝統美と明治期の技術革新が融合した工芸品です。胎土・釉景・筆致・落款・来歴を総合的に観察することで真贋と価値が判ります。実物確認と来歴資料の照合を経て評価すれば、茶道具としてもコレクションとしても長く楽しめる逸品と言えるでしょう。
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