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十二代坂倉新兵衛(1881–1960)は、山口県長門市深川の萩焼窯元で代々襲名される名跡の一人で、萩焼の伝統を受け継ぎながら昭和期に活躍した作家です。萩壺花入は、手取りの良い丸みある胴と柔らかな釉調、使うたびに景色が変わる“萩の七化け”を楽しめる茶席向きの器形として評価されます。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
萩壺は地元の粘土を用い、轆轤成形や手捻りで形を作ります。素焼き後に施される透明釉や白釉は厚薄のムラや貫入を生み、使用や経年で釉色が飴色〜褐色へと変化するのが萩焼の大きな魅力です。十二代の作行きは伝統的な素朴さを保ちつつ、口縁や胴のプロポーションに端正さが見られます。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
花入としての萩壺は、口の径・肩の張り・胴の膨らみが花留めや花材の表情と密接に関係します。十二代作品は量感を残しつつも手取り良く、釉の流れや窯変(焼成時に生じる景色)を抑揚豊かに配する点が特徴です。底には作家印や箱書が添えられることが多く、来歴の有無が鑑定に重要です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
鑑定では(1)底裏の落款・箱書・共箱の有無、(2)釉裏の景色(貫入の入り方や色の乗り方)、(3)窯変の自然さ(景色が焼成由来であること)、(4)木地や轆轤目の残り具合、(5)修理痕の有無を確認します。近年は模倣品や後補が流通するので、古物商や専門家による実物確認が推奨されます。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
十二代の萩茶碗や小壺は市場で流通し、オークションや古美術店での実例が見られます。サイズ・保存状態・共箱の有無で価格は変動しますが、無銘の小品〜中型壺は数万円台から出回る一方、良好な来歴・優品は十万円台以上で取引されることが多いです(実例参照)。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
陶器は急激な温度差や落下に弱く、釉の貫入に水垢が入ると景色に影響します。実使用する場合は水切りを良くし、長期保管は布や無酸紙で包み箱に納めること。欠けやニュウ(貫入の進行)を見つけたら専門家へ相談してください。
萩壺は光の当たり方で釉の飴色や貫入が表情を変えます。斜め光で陰影をつけ、白い掛け花や枝物を合わせると釉色が引き立ちます。箱書や落款は撮影して来歴記録を残すと将来の査定に有利です。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
十二代坂倉新兵衛作の萩壺花入は、萩焼の「化ける」美しさと伝統的な作陶技術が結実した工芸品です。真贋は落款・共箱・窯変・釉裏の挙動で総合判断し、適切に保存・記録することで茶道具としての使用価値と骨董的価値をともに保てます。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
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