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古備前焼の徳利(とっくり)で、底部または胴部に「桂又三郎」の刻印(識)が入る希少品です。素朴な土味と無釉の焼き締まりが特徴で、桃山・江戸初期の技法を伝承する作家印本手(ほんで)として評価されます。
桂又三郎は明治期以降の備前陶工で、伝統的古窯の技術を復興・発展させた人間国宝級の名匠。古備前の土採取から窯詰め・還元焼成まで一貫制作し、独自の焚き締まりと自然釉景色を追求しました。識印は作家自刻のもので、真作判定の重要ポイントです。
備前焼は無釉で、長時間の還元焼成により鉄分を含む土が飴色に発色し、焼き締まった硬質な表情を呈します。窯変による緋色や緑色、灰被(はいき)景色の多様性が魅力で、実用品でありながら陶芸コレクションとしても高い芸術性を持ちます。
本作徳利は肩張り胴細型。胴部には手捻りによる微妙な凹凸が見られ、口縁はロクロ切り立てのシャープな線が残ります。窯変で現れた緋襷(ひだすき)や灰被りの濃淡が、手業と自然の共演を感じさせます。底部の識印は鋳込みではなく素彫りで、作家の署名性を強調します。
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