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古銅器の壺・馬・牛は、青銅(銅錫合金)を主素材とし、鋳造技法によって制作された工芸品です。壺は容器としての実用性に加え、祭祀用や儀礼用として用いられ、馬や牛の立像・俑は陪葬具や装飾品として古代社会の権威や繁栄を象徴しました。素材の古色や造形の力感、文様の精緻さが、骨董市場で高い評価を受ける要因です。
中国における青銅器文化は殷・周時代(紀元前16~前3世紀)に確立し、春秋・戦国期に鋳造技術が飛躍的に発展しました。壺は食器や酒器として日常に溶け込みつつ、貴族や王庭の祭礼で重用。馬・牛は家畜を意味するとともに外交使節への贈答品や墓葬文化の一翼を担い、後世の漢・唐・宋・明などでも写しや模造が続きました。
主材の青銅は、銅に錫・鉛を加えた合金で、鋳型に溶鋳した後、鋳肌(いものはだ)を残すか研磨して仕上げます。型継ぎ跡や湯道跡、鋳出し痕が残るものほど古手(本時代作)の証とされます。鋳造法は失い型鋳造(ロストワックス)や砂型鋳造が採用され、鋳型から抜型後は彫金や素地仕上げ、漆補修を施して意匠を完成させます。
壺は腹部に帯状の雷文や雲龍文を巡らせ、口縁や高台に細帯文を刻むことで調和と荘厳を表現。馬・牛像は静止姿勢や躍動姿勢など多様で、細部にわたる鬣(たてがみ)や毛並み表現、蹄や眼窩の彫り込みが鋳師の腕前を示します。陪葬具としての馬・牛俑は、主人の来世享受を示す「生け贄」の意味も担いました。
殷・周時代の真作級壺は数千万円以上のケースもあり、装飾文様が鮮明な良品は千万円単位。漢・唐の馬・牛俑は百万円~千万円、宋・明代以降の写し品は十万~百万円が相場です。補修痕が大きいものや来歴不明の写し品は数十万以下となる場合があります。
青銅器は湿度変動や酸性大気に弱く、湿度40~60%、室温20℃前後を維持。埃は柔らかな刷毛で払うのみとし、化学薬品や研磨剤の使用は避けます。緑青を全て落とすのではなく、経年景色として一部を残すのが望ましく、裏面に共箱や来歴資料を添えて保管すると価値が高まります。
古銅器の壺・馬・牛は、鋳造技法、素材の古色、造形美、刻印や緑青の景色、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が最大化します。古代中国の工芸技術と宗教・葬祭文化の結晶として、今後もコレクターや研究家から高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。
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