仏像 銅製誕生仏 買取実績

概要

銅製誕生仏は、釈迦牟尼仏の誕生を象徴的に表し、七歩歩いて天と地を指さす印相を結ぶ立像です。素材に銅を用い、鋳造技法によって形づくられるため、金銅仏とは異なるしっとりとした質感と落ち着いた色調が特徴。寺院や家庭用の小型仏像として親しまれ、骨董市場でも根強い人気を誇ります。

歴史的背景

誕生仏の図像化はインド仏教に端を発し、中国・日本へ伝来。奈良時代には石刻や木彫で表現されましたが、銅製造技術の発展に伴い平安～鎌倉期には金銅仏と並んで銅製像が制作され、江戸期以降も修理や再鋳造を経ながら流通しました。

素材と鋳造技法

鋳造はロストワックス法や砂型鋳造が用いられ、鋳肌（いものはだ）を残したまま仕上げるものが多いです。鋳型の継ぎ目処理や細部の彫り込みは鋳師の技量を示し、素地には自然な緑青（りょくしょう）が発生して古色景色を醸成します。

意匠と印相

誕生仏は胎中から出た瞬間に七歩歩いたと伝えられ、右手が天を、左手が地を指す「誕生印」を結びます。衣文は簡略化された衣紋で構成され、典雅な表情と相まって仏の神跡を感じさせます。

造形と寸法

小型像は高さ10～30cm程度、置きやすいサイズで、台座には蓮華紋や獅子脚を模した意匠が施されます。大型像は50cm以上となり、寺院の内陣や厨子に収められることもあります。

骨董的評価ポイント

• 鋳肌の質：鋳型傷や湯口跡の自然な残存度


• 古色・緑青：自然に発生した緑青のムラと深み


• 造形の完成度：誕生印や衣文の線彫りの精緻さ


• 刻印・銘：鋳工銘や供養銘、年紀の有無


• 保存状態：欠損・補修跡、虫損や割れの有無


• 来歴資料：寺院伝来札や古文書、展覧会図録の記録

市場価格の目安

平安～鎌倉期の銅製誕生仏無銘良品は200万～600万円、江戸期作の写しや小型像は30万～150万円が相場。保存良好かつ来歴明確品はさらに高額取引される傾向にあります。

保存と取り扱い

青銅製像は湿度50～60％、室温20℃前後を保持し、直射日光やエアコン直風を避ける環境で管理。埃は柔らかな刷毛で優しく払い、化学薬品は使用せず乾拭きでメンテナンスします。

まとめ

銅製誕生仏は、鋳造技法・古色・造形・刻印・来歴の五要素が揃うことで骨董的価値が飛躍的に高まります。宗教的意義と工芸的完成度を兼ね備え、仏教美術コレクターや寺院関係者から今後も高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。