煎茶道具　鉄釉茶注　在銘 買取実績

1. 鉄釉茶注とは

（1）鉄釉の定義

鉄釉（てつゆう）とは、鉄分を多く含む釉薬を使用した焼き物のことで、黒褐色や赤茶色の深みのある色合いが特徴です。中国の唐時代に始まり、日本では桃山時代以降に発展しました。鉄釉の茶注（ちゃちゅう）は、主に煎茶を淹れるための急須に分類されます。

（2）茶注の歴史

• 中国・宋時代（10世紀～13世紀） - 鉄釉の技術が発展し、茶器にも応用される。


• 桃山時代（16世紀） - 日本の茶の湯文化が栄え、鉄釉の茶器が制作されるようになる。


• 江戸時代（17世紀～19世紀） - 煎茶の流行とともに鉄釉茶注が普及する。

2. 鉄釉茶注の特徴

（1）造形と意匠

• 釉薬の流れが独特の景色を生み出し、一点ごとに異なる表情を持つ。


• 厚みのある釉薬が施され、光沢のある仕上がりが魅力。


• シンプルなフォルムながら、実用性と美術性を兼ね備えている。

（2）用途と美術的価値

鉄釉茶注は、実際に茶を淹れる道具としての機能だけでなく、装飾品や収集品としての価値も高い。特に「在銘」のものは、作家の名が刻まれており、希少価値が高まる。

3. 鉄釉茶注の製作技法

（1）成形と焼成

鉄分の多い陶土を使用し、ろくろや手捻りで形を作る。高温焼成することで、鉄釉の発色が鮮やかに現れる。

（2）釉薬と仕上げ

釉薬の掛け方によって模様が変化し、釉だまりや流れ模様が作品ごとに個性を生む。

4. 骨董市場での価値

（1）製作年代による評価

桃山時代や江戸時代の作品は特に価値が高く、近代の名工によるものも評価される。

（2）作家や窯の影響

有名な窯元や作家の作品は高額で取引され、特に「在銘」のものは市場で人気が高い。

（3）保存状態

ひび割れや欠けがないものほど価値が高まり、共箱や証明書が付属しているとさらに評価が上がる。

5. 現代における評価

（1）茶道具としての需要

現在でも煎茶道の場で使用され、茶人や愛好家の間で高く評価されている。

（2）美術品・コレクター需要

国内外のコレクターに高く評価され、オークションでは高額で取引されることがある。