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薙刀(なぎなた)は日本の伝統的な長柄武器で、刃長は60〜90cm、柄長は120〜180cm程度が一般的です。本作は無銘の薙刀であり、作者や制作年代を示す銘が刻まれていないものを指します。無銘である一方、地鉄や刃文、刀身の反りや鎬の造り込みなどから、制作時期や流派を推定できる点が骨董的に高く評価されます。
薙刀は平安時代末期に女性武者や僧兵、農民の武装具として用いられ、鎌倉期以降は武士の副武器として発達しました。特に南北朝から室町期にかけて戦国動乱期に需要が高まり、多様な造形や装飾が生まれました。江戸期には狩猟用や武術の鍛錬具として伝承され、今日では古式武具として骨董市場で重宝されています。
薙刀は刀身、柄、柄頭(つかがしら)、柄巻(つかまき)、柄鐺(つかがね)から構成されます。刀身は一枚鍛(ひとひらだん)または二枚落し鍛など多様な鍛接技法で作られ、板目肌や柾目肌の地鉄が見所です。刃文は直刃・互の目・のたれなどがあり、荒沸(あらにえ)や細かな砂流しが彫り出されることで作刀年代の特定に寄与します。
鎌倉期から室町期の無銘良作は200万〜500万円、戦国期様式の野太刀形は300万〜800万円が相場です。江戸期の狩猟用小型薙刀や模造品は30万〜100万円程度。保存が良好で来歴・鑑定書付きの品はさらに高値が期待できます。
鉄製武具は湿度と温度変化に敏感で、相対湿度50〜60%、室温20℃前後を保つ環境が理想です。使用後は刀身を布で乾拭きし、薄く刀油を塗布。柄や柄巻は直射日光を避け、虫害防止のため定期的に点検してください。
無銘薙刀は、銘がなくとも地鉄・刃文・反り・茎の特徴から制作年代や流派を読み解く楽しみがあります。地鉄の美しさ、刃文の精緻さ、保存状態、来歴資料の四要素が揃うことで、骨董的価値が最大化し、武具コレクターや美術館から高い評価を受ける逸品となります。
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