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木造阿弥陀如来坐像は、仏教の浄土信仰に基づき、阿弥陀如来が蓮華台上で来迎印を結ぶ姿を表した木彫仏です。その優美な坐相と穏やかな表情は信仰対象であると同時に、彫刻技術の結晶として高く評価され、骨董市場でも人気を集めています。
仏教が日本に伝来した飛鳥〜奈良時代以降、阿弥陀信仰は鎌倉期に隆盛。特に定朝様(平安後期)の木彫阿弥陀像、また鎌倉・南北朝期の運慶・快慶派の写実的作例が多数残ります。室町以降は禅宗寺院を中心に制作が続き、各時代の造形美と木彫技術を伝えています。
平安期の像は端正な眉目と柔和な衣文、鎌倉期作は肉取りの豊かな実感、室町期以降は墨跡や彩色による古色趣を重視。坐像は結跏趺坐(脚を組む)または半跏趺坐の形式で、右手は施無畏印(恐怖を取り除く印)、左手は与願印(願いを叶える印)を結ぶものが典型です。
主材は桧(ヒノキ)や樟(クスノキ)を用い、寄木造・一木彫いずれも存在。表面には漆下地の上に彩色、金箔押しを施す例が多く、経年により剥落や貫入が生じた姿が「時代景色」として評価されます。高温乾燥や虫損防止のため、錆止め漆や防虫処理が行われることもあります。
平安後期の定朝作真作級坐像は時価で数千万円以上、鎌倉期の運慶・快慶派作は数百~千万円、室町以降の作行の良い古作は百万円前後。補修多や来歴不明のものは数十万~数百万円が相場です。
木造仏像は急激な温湿度変化を嫌い、室温20℃前後・湿度50~60%を保つ環境で管理。直射日光や乾燥しすぎるエアコン風を避け、埃は柔らかな刷毛で軽く払い、漆層や彩色層を傷つけないよう保護します。定期的な点検と必要に応じた専門的修理が長期保存に重要です。
木造阿弥陀如来坐像は、その歴史的背景と造形美、彩色・金箔の雅趣、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。優品は美術館級のコレクションとしても評価され、今後も仏教美術コレクターや研究者から高い需要を維持することでしょう。
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