Menu
古書「法楽帖他」は、江戸時代後期から明治期にかけて刊行された木版本や写本の揃いで、仏教法要の声明や和歌、連歌を収めた貴重な文献です。手漉き和紙に刷られた墨の濃淡や、写本特有の筆跡が持つ風合いは、当時の出版文化と写字技術の粋を伝え、骨董品として高い評価を受けています。
「法楽帖」は寺社の法要用に編集された声明集で、各地の地本問屋による木版印刷版が庶民にも流布しました。写本は僧侶や文人が自ら筆写したもので、個々に異なる奥付や署名奥書が残るため、書誌学的にも価値ある資料とされています。
和綴じは雁皮紙や手漉き楮紙を用い、麻糸で四つ目綴じや相綴じに仕立てられます。表紙には藍染め紙や雁皮紙を貼り、題箋は木版刷り。函(はこ)や帙(ちつ)が完備していると保存状態の良さが証明され、評価が格段に上がります。
木版本には、本文と挿絵が同じ版木で刷られた「挿絵入り版本」も含まれ、墨のメリハリと余白の取り方が版元によって個性を示します。写本は筆者の書風による変化が大きく、墨色の濃淡や運筆の強弱から作者の技巧や体調を読み取ることができます。
江戸後期の木版本で無傷・函・帙完備の「法楽帖」は50万~150万円。写本系の稀少本や奥付に古い年紀があるものは200万~500万円に達することもあります。傷みや虫損が多い場合は10万~50万円が相場です。
古書は湿気や直射日光を嫌うため、室温20℃前後・湿度50%前後の環境で保管します。展示時はUVカットガラス内、通気性の良い書棚に立て、埃は柔らかな筆で払い、ページを開く際は金属製クリップを避け、和紙用文鎮を使用してください。
古書「法楽帖他」は、仏教儀礼と文学文化を伝える価値ある史料であり、版元情報、紙質・墨色、綴じ・装丁、筆跡・挿絵、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が最大化します。今後も研究資料として、また展示や茶席の調度品として評価が高まることでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。