Menu
永楽善五郎(えいらくぜんごろう)は、千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の茶道文化を支える「千家十職」に数えられる京焼の名門家元です。本作の大皿は、直径30~40cmを超える茶道具の大皿(干菓子皿や懐石向け盛皿)で、腰のしっかりとした器形と格調高い絵柄が融合した逸品です。骨董品としては、作者銘、箱書き、制作年代、釉調、保存状態などが評価の決め手となります。
「千家十職」とは、千利休以来三千家が茶道具に求める10種の専門工芸家を指す制度で、永楽家は京焼の陶工として代々指定を受けています。初代から続く永楽家は、有田や九州の名工と並び称される格式を誇り、十一代・十二代を経て、現代は十三代・十四代が続きます。善五郎号を継承した世代は、京焼伝統の濃彩金襴手を現代に伝えます。
永楽善五郎の名を冠するのは代々十二代前後ですが、本作の銘「善五郎」は昭和後期から平成にかけての十三代・十四代の作品に見られます。師事者としては裏千家第何代家元や表千家家元から茶会道具を多数納入し、数寄者の間で真作保証としての地位を確立しました。箱書きには「千家十職 永楽善五郎」の墨書が見られます。
大皿は胴部に深みを持たせた高台立ち上がり形で、外縁はわずかに反らせて盛り付けの安定感を高めます。絵付けは金襴手の金彩を基調に、菊唐草や山水、龍文など吉祥文様を濃密に描き込む「金襴手薄墨金彩(きんらんでうすずみきんさい)」が代表的。釉下彩の濃淡と金彩の輝きが調和し、茶席や席中での存在感を際立たせます。
胎土には京焼特有の陶石・長石混土を用い、高温還元焼成で微妙な素地の白さを引き出します。絵付けは素焼きの上に呉須や赤絵具を用い、その上から透明釉を掛けて本焼成。焼成後に金泥を蒔き、再焼成して金彩を定着します。厚手の金彩は金層が剥落しにくく、経年で漆黒化した岩金(いわがね)の風合いを楽しめます。
保存状態良好で共箱・墨書完備の大皿は時価で200万~400万円。小さなカケや金彩摩耗がある場合は100万~200万円、箱書きのみで来歴不明の場合は50万~100万円が相場となります。年代や図柄の希少性により、さらに高額となることもあります。
京焼は急激な温度変化に弱く、直火や電子レンジ使用は厳禁。保管は室温20℃前後・湿度50~60%を維持し、直射日光を避けてガラスキャビネット内が望ましいです。金彩部分は乾いた柔らかな布で拭き、金層を傷めないようにしてください。
千家十職 永楽善五郎の大皿は、千家茶道具の格式を体現する京焼磁器の最高峰です。作家銘、共箱、釉調、絵付け、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで、骨董的価値が最大化します。優品は茶道具コレクターや美術館収蔵においても高く評価され続ける逸品と言えるでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。