能面 小面(こおもて) 翁(おきな) 中将(ちゅうじょう) 買取実績

買取品名
能面 小面(こおもて) 翁(おきな) 中将(ちゅうじょう)
買取エリア
兵庫県神戸市須磨区
買取額

コメント
能面 小面(こおもて) 翁(おきな) 中将(ちゅうじょう)を買取させていただきました。





能面 小面・翁・中将の骨董的価値



概要


能面は能楽で用いられる顔面装飾具で、その微細な表情変化が舞台上で多様な感情を伝えます。中でも小面(こおもて)、翁(おきな)、中将(ちゅうじょう)は代表的な三種で、骨董品としても高い人気を持ちます。それぞれの面種が持つ歴史的背景や技術的特徴が、評価を左右する重要な要素となります。



歴史的背景


能楽は室町時代に観阿弥・世阿弥によって確立され、能面制作も同時期から始まりました。小面は優美な若女を、中将は色香を帯びた中年女性を、翁は老人性を象徴する霊験あらたかな役柄を表現し、各々が創作当時の美意識や宗教観を映し出します。



小面(こおもて)の特徴


小面は若い女性を描き、目尻や口角のわずかな調整で微笑や憂いを表現します。材質は欅(ケヤキ)や桐(キリ)が多く、下地には胡粉(ゴフン)を厚く塗布。髪際や目元にのみ薄く彩色を残し、舞台照明で表情が動的に変化する工夫が施されています。



翁面(おきな)の特徴


翁面は長寿や福をもたらす老人役を示し、深い皺や大きく張り出した眉、口元の縦皺が厳粛さを伝えます。通常は素木仕上げか軽い拭き漆で落ち着いた色合いとし、神聖性を高める漆黒の眼孔が特徴です。



中将(ちゅうじょう)の特徴


中将は色香漂う中年女性役で、甘美な微笑を浮かべながらもどこか儚さを感じさせる表情が魅力。眉や唇にわずかな彩色が残り、面頬(めんぼお)には透かし彫りを施す流派もあります。



制作技法


能面は原木から荒彫り→中彫り→仕上げ彫りの順に形成。胡粉下地→彩色→漆塗り→拭き漆を数回繰り返し、漆膜の厚みと微妙な肌理を整えます。作者の名や流派印が内裏に刻まれ、真贋と制作年代の判定材料となります。



骨董的評価ポイント



  • 〈作家銘・流派印〉内銘や押印の有無・鮮明さ

  • 〈下地と漆調〉胡粉層の厚み・拭き漆の艶とムラ

  • 〈彩色の保存〉眉・唇の色彩残存度

  • 〈彫刻の完成度〉皺や眉間の線の深さ・滑らかさ

  • 〈保存状態〉ヒビ・チップ・古修理跡の有無

  • 〈来歴資料〉共箱、鑑定書、旧蔵家記録の有無



市場価格の目安


江戸後期~桃山期の古作で完品・共箱付は500万~1,000万円以上。小面や中将の良品は200万~500万円、翁面は300万~700万円程度が相場です。近代作や補修のある品は50万~200万円で取引されることが多く、流派や作者によって価格の幅が広がります。



保存と取り扱い


能面は木+漆+顔料で構成され、湿度40~60%、温度20℃前後を保つ環境が望ましいです。直射日光や乾燥、エアコン風を避け、展示は周期的に休ませる。取り扱い時は綿手袋を着用し、面裏の紐や紐孔を点検すると長期保存に効果的です。



まとめ


小面・翁面・中将面は、それぞれ異なる美意識と技術を結実させた能面の典型です。作家銘・流派印、下地漆・彩色の保存、彫刻の完成度、来歴資料の有無が価値を左右し、優品は骨董市場で高額取引されるとともに、能楽文化の重要な遺産として評価され続けます。






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