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リヤドロ(Lladro)はスペイン・バレンシア郊外の陶磁器メーカーで、1950年代から手作業による高級磁器人形を制作。「公園通りの花屋さん」は、花束を抱えた女性と子供、仔犬が寄り添う愛らしい風景を象った人気作です。可愛らしさと繊細さを兼備し、コレクター市場で高い需要があります。
創業者の三兄弟が伝統的な白磁技法を応用し、1960年代から国際的評価を獲得。1970~80年代には日本をはじめ欧米市場でコレクター層を拡大し、限定品やサイン入り作品がブランド価値を高めました。現在でも熟練工の手仕上げと高品質釉薬が伝統を支えています。
1970年代後半に発表された本作は、欧米の公園を想起させる石畳と並木、小さなスタンド型の花屋を舞台に、花飾りやバスケットを手にする親子を表現。タイトルは街路樹の緑と季節の花々を対比する趣向で、リヤドロならではの情緒あふれるストーリー性が人気の要因です。
優雅なフォルムは滑らかな曲線を基本とし、人物の衣装や花びらの薄さを磁器の限界まで薄造りで再現。顔料は淡いパステル調で均一な発色を追求し、肌や花びらのグラデーションは熟練した手彩色によって生まれます。仔犬やカゴの細部も丹念に仕上げられています。
使用される磁土は高い純度のカオリン主体で、1300℃前後の還元焼成により硬度と耐久性を確保。釉薬は透明釉を基調とし、焼成後に筆彩で色絵付けを行います。最後にリヤドロ独自のマットコートを施し、光沢を抑えた柔らかな質感を実現しています。
「公園通りの花屋さん」は標準的な高さ20cm前後の大型立像で、新品時価格は10万円前後。骨董市場では共箱・証明書付完品が15万~30万円、チップや補修跡があるものは5万~15万円、廃盤・限定モデルは50万円以上となる場合もあります。
磁器人形は強い衝撃に弱く、展示台や棚は平滑かつ耐震性のある場所を選ぶこと。直射日光による色褪せを防ぐためUVカットガラス内が理想的です。埃は柔らかな筆で払い、洗浄は中性洗剤を使わず乾いた布で優しく拭き取ります。
リヤドロ「公園通りの花屋さん」は、その愛らしさや物語性、職人技による薄造り彩色が高く評価される骨董品です。作家サイン、共箱の有無、保存状態、限定性の四要素が価格と評価を決定づけ、優品はコレクター市場で安定した需要を維持しています。
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