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石材印一式とは、漢代以降の中国で発達した印章文化を背景に、多種多様な石材を用いて彫刻された印章の揃い物です。寿山石・青田石・巴林石など希少性の高い印材を材料とし、書画・文人趣味を彩る文房具として重用されました。
印章はもともと官職・身分の証明具でしたが、魏晋南北朝期以降、文人の雅玩具となり、唐宋時代には書画の落款用具として普及。明清期には文房具店が専門化し、石材印一式を揃えることが文化的ステータスを示しました。
代表的なものに、透光性と細密な石目が特徴の寿山石、緻密な青緑色の青田石、黄色~オレンジ色の巴林石などがあります。これらは産地や品質により希少度が異なり、同じ銘柄でも産地や層紋の美しさが価値を大きく左右します。
石材印は、印面の彫刻(陰刻・陽刻)技術が核心です。字形の切れ味、線の太細、抜けの良さが職人の腕を示し、裏面に人物・景物・吉祥文様を浮彫にした遊印を組むこともあります。彫刻後は印面研磨と朱肉テストを経て完成します。
印章の意匠は篆書・隷書・行書など書体の他、印把(把頭)に彫刻された龍鳳・山水・花鳥文が楽しみです。印把の形状も長方形・角柱・丸型・亀甲型など多彩で、彫工の創意が随所に息づいています。
清代以降の寿山石印材で、名家作品の在銘品は一本50万~200万円。印刻が一流工により彫られたものや遊印付き揃いは300万を超えることもあります。無銘・状態良好の中級品は10万~50万円が相場です。
石材印は湿度変化に敏感で、乾燥によるヒビ割れを防ぐため湿度50~60%を保ちます。印面の朱肉は使用後に練り柔らかい筆で除去し、印床や印箱に柔らかい布を敷いて保護してください。
石材印一式は、石材の希少性と印章彫刻の芸術性が融合した骨董品です。石質、彫刻技術、来歴資料、保存状態、付属品の五要素が揃うことで、真の価値が発揮され、コレクター市場で高評価され続ける逸品と言えます。
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