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寿山石(じゅざんせき)は中国福建省寿山地区の高級彫刻石で、細密な石目と豊かな色調が特徴です。本作は寿山石製の石四面像(一対)で、四方向に異なる仏像や文人像を彫り分けた稀少な意匠。彫刻の緻密さと石色の美しさが調和した逸品として、骨董市場で高い評価を受けています。
寿山石は赤・黄・乳白・緑など多彩な色彩を持ち、石目が緻密でひび割れに強い特性を備えます。彫刻後の磨き上げで飴色の艶が出る「飴化(あめか)」現象も魅力の一つ。希少性が高く、時代を問わず文房具や仏像、人物像などの彫刻素材として珍重されました。
本品の石四面像は、四方それぞれに千手観音、弥勒菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩を配置。四面彫りは「四方守護」を意味し、仏典の世界観を立体的に表現します。像底部には円形座台を一体彫りし、石材の層構造を活かした自然なグラデーションが鑑賞ポイントです。
制作には刀子(とうす)や彫刻刀を駆使した線彫・浮彫技法が用いられ、仏像の衣文や表情を繊細に刻み込みます。刻印や落款が裏底に残るものは近代以降の作品ですが、落款の書体や石色から清末~民国期(19世紀後半~20世紀初頭)の作と推定されます。
来歴を示す箱書きや旧蔵家目録の記載があれば、真贋と時代判定が容易になります。石色の飴化具合や落款の風化度合い、彫り跡の鋭さなどを顕微鏡やルーペで確認し、専門鑑定機関の鑑定書があるとコレクション価値が一段と向上します。
清末~民国期作・無傷・落款鮮明・来歴明確な一対は時価で300万円~600万円。軽微なチップや小補修があるものは150万円~300万円、来歴不明・無銘の写し品は50万円~150万円が目安となります。
寿山石は硬度が高い一方、気温差や乾燥で小さなひびが入りやすいので、保管は湿度50~60%、室温20℃前後、直射日光を避けた場所で行います。展示や取り扱い時は手袋を着用し、柔らかな布で埃を払う程度とし、水洗いや化学薬品の使用は厳禁です。
寿山石一対の石四面像は、素材・技術・来歴・保存状態のすべてが揃うことで真の骨董価値を発揮します。四方に四尊像を彫り分けた稀少性と、深みのある飴化した石色、落款・来歴の確かさが評価を左右し、コレクターや美術館から熱い注目を集め続ける逸品と言えるでしょう。
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