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彫金花瓶(ちょうきんかびん)は、金属製の花瓶表面に金鍍金を施し、巧緻な彫刻文様を浮き彫りで表現した高級金工芸品です。在銘品とは、作者や工房名が本体や台座に刻印されているもので、真贋判定や来歴の裏付けとして重要な役割を果たします。
彫金花瓶は、まず銅合金や真鍮素地を鋳造または鍛造して成形し、その後表面に金箔・金鍍金を施します。刻刀や鏨(たがね)で地金を彫り進め、花鳥風月や唐草、龍・鳳凰などの文様を彫刻。繊細な浮彫と金の輝きが調和する奥深い風合いを生み出します。
在銘とは作品に作者名や工房印を刻むことで、誰がいつ制作したかを明示するものです。銘が鮮明に残る在銘品は、真贋鑑定が容易となり、コレクションや投資の観点からも信頼性が高まります。特定の名工や名窯の銘があるものは希少性が飛躍的に向上します。
素地には銅合金(赤銅、黄銅など)や真鍮が多用されます。金鍍金は電気鍍金や化学鍍金で施され、純度や厚み、下地処理の丁寧さによって発色や耐久性が変わります。高級品ほど金厚膜を用い、長年の使用でも剥落しにくい仕上げがなされています。
彫金花瓶には、唐草唐鳳文、牡丹唐獅子文、龍虎文、花卉文など吉祥文様が好まれます。瓶形は高筒形、胴張形、萩形など多様で、口縁や肩部には帯状の彫帯を巡らせ、底部には鶴足台や獣脚台を据えた例も多く、立体感と威厳を演出します。
名工在銘・保存極上品は500万円以上、金層厚・文様精緻な明治期作は200~500万円、無銘や小補修品は50~200万円が相場です。共箱や来歴明示が揃えば、同等品質でも10~20%高い価格がつく傾向にあります。
金鍍金品は汗や酸性物質に弱いため、展示や保管は乾燥したケース内が望ましいです。手で直接触れる際は綿手袋を用い、金鍍金面には極力触れないよう注意します。埃は柔らかな筆や布で軽く払い、化学薬品や研磨剤の使用は避けます。
彫金花瓶在銘品は、金工芸の高度な技術と歴史的価値を併せ持つ逸品です。銘の有無と保存状態、彫刻・鍍金の完成度、来歴証明の有無が評価を左右し、優品は骨董市場で高額取引されます。適切な保存・鑑定を経て、次世代へ伝えるべき文化財的遺産といえるでしょう。
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