鉄瓶　金龍堂造　安之介花押　金銀象嵌 買取実績

金龍堂造鉄瓶の概要

金龍堂造鉄瓶は、明治期から大正期にかけて活躍した名工・金龍堂が手掛けた逸品で、茶の湯や日常の湯沸しに用いられました。口×胴×高：約15×20×18cm程度の中型鉄瓶で、重厚な鉄肌に金銀象嵌が施された豪華仕様が特徴です。

金龍堂の歴史と背景

金龍堂は京都・南部鉄器の流れを汲む鋳物工房で、初代から代々「金龍」の雅号を継承。安定した鋳造技術と革新的な装飾技法で知られ、昭和初期には茶道具専門店にも多数納入された名門ブランドです。

安之介花押の意義

「安之介」の花押（かおう）は、名工・金龍堂の四代目とされる安之介が刻印したサイン。作品の拳印部や内底に鋳込まれ、真作証明と鑑定の決め手となります。花押の形状や線の流麗さから時代と作者を見極める重要ポイントです。

金銀象嵌技法の特徴

象嵌は鉄肌に彫りを入れ、金・銀線を打ち込む技法。金龍堂は特に金銀の配色バランスに優れ、龍文・唐草文・波頭文など縁起文様を立体的に浮かび上がらせます。漆や錆止め処理を施し、経年変化による風合いが深まるのも魅力です。

造形と意匠

胴部は緩やかな胴張り形状で、取っ手は鉄線を捩じった「捩手（ねじて）」。蓋摘みは龍頭や宝珠を象った意匠で、全体に調和の取れたプロポーションが美術工芸品として高い評価を受けます。

骨董品としての評価ポイント

評価は「花押の鮮明さ」「金銀象嵌の残存度」「鋳肌の質感」「錆止め漆の劣化具合」「箱書き・共箱の有無」「来歴書類の有無」によって大きく左右されます。特に花押と共箱が揃う完品は最高評価です。

市場価格の目安

安之介花押・金銀象嵌完品共箱付は時価で150万円～300万円。小傷や錆止め漆の劣化があるものは80万円～150万円、有銘だが装飾に劣化が見られるものは30万円～80万円が相場となります。

保存と管理の留意点

鉄瓶は湿気と直射日光を避け、使用後は内部を乾燥させ、柔らかな布で外側の余分な水分を拭き取ります。金銀象嵌部は研磨剤を避け、共箱や桐箱に収めて湿度50～60％、温度20℃前後で保管してください。

まとめ

金龍堂造・安之介花押入り金銀象嵌鉄瓶は、南部鉄器の伝統技術と金銀象嵌の華麗な装飾が融合した名品です。真作証明となる花押と共箱、装飾の保存状態が価値を左右し、完品は茶道具コレクターのみならず美術工芸品ファンからも熱い視線を集め続ける逸品です。