Menu
平田重光(ひらたしげみつ)は、昭和期を代表する金工家・銀工家であり、国内外の展覧会に多数出品・受賞歴を持ちます。本作「純銀花瓶」は、高さ約25cm、胴径約12cmの細長いシルエットを持ち、全体が純銀(SILVER 999)で制作された一点物の逸品です。
平田重光は1935年生まれ。東京芸術大学工芸科卒業後、金工作家として独立。伝統技法を守りつつモダンな造形感覚を追求し、1980年代以降は純銀・純金による花瓶や茶道具を中心に制作。人間国宝に準じる評価を受け、国内外コレクターに支持されています。
平田の作品は「素材の持ち味を活かす」ことを重視し、純銀の滑らかな光沢を引き立てる鋳肌(いぶし銀加工)と槌目(ハンマード)仕上げを多用。曲線を基調としたシンプルなフォルムに、独自のテクスチャーを組み合わせることで、光の当たり方で表情が変わるダイナミックな美を生み出します。
本作は純度99.9%の純銀を用いており、銀本来の白い光沢と柔らかな反射が特徴です。純銀は加工が難しく、曲げや槌打ち時にひび割れが起こりやすいため、熟練技術が必要とされます。
鋳造によって得た母型から銀を流し込む「ロストワックス法」を主に用い、細部まで忠実に再現。完成後にハンマード加工で槌目を付け、表面を均一に磨き上げることで、仕上がりに立体感と重厚感を与えています。
胴部は緩やかな湾曲形状で、上下にわずかなくびれを設けてリズミカルなシルエットを実現。口縁は薄くシャープに仕上げ、花の茎や枝が自然に収まるよう内部形状を考慮。底面には作家のサイン「重光」と純銀刻印が施され、箱書きされた共箱付きで来歴が明確です。
純銀は硫化による黒ずみを生じやすいため、使用後は柔らかい布で軽く乾拭きし、硫化防止剤を含む保存袋に入れて共箱へ収納します。直射日光や高温多湿を避け、湿度40~60%、室温20℃前後の環境で保管します。また、展示時は銀の風合いを保つため低照度での照明を推奨します。
平田重光作「純銀花瓶」は、現代金工芸の最高峰とされる純銀素材と卓越した鋳造・槌目技法が融合した逸品です。作家性、素材の純度、来歴、技術力が揃う完品は、骨董市場において高い評価と人気を誇り、今後も現代工芸品コレクションの中核をなす存在となるでしょう。
鑑定のご相談、
お待ちしております!
多くの士業関係の方からも御依頼を頂いております。お気軽にご相談ください。