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櫛は古代から髪結い具としてだけでなく、身分や趣味を示す装身具として発展しました。平安時代には貝殻製や木製が用いられ、室町・江戸期には鼈甲(べっこう)や象牙、金属、さらに蒔絵や螺鈿(らでん)技法を施した高級品が現れます。文様には桜、菊、流水、雲母摺(きらずり)などが描かれ、女性の装いに華を添えました。骨董品としては、素材の希少性や蒔絵・象嵌の完成度、年代を示す表現様式が評価ポイントになります。
かんざしは髪を固定する実用品ながら、意匠性が高い装飾具としても人気です。代表的な一本差しかんざし、花簪(はなかんざし)、平打ち簪、簪十種などがあります。素材は鼈甲、象牙、金銀、木、竹など多彩で、漆や螺鈿、金箔、切込象嵌が施されるものも。江戸中期以降には細工師の銘が入る例も増え、作者特定ができる作品は骨董的価値が飛躍的に高まります。
三味線バチは撥(ばち)とも呼ばれる撥弦具で、音色に大きく影響します。古典的には象牙製が最高級とされ、竹製、鼈甲製、黒檀や紫檀製のものもあります。装飾は彫刻や金象嵌、螺鈿で図柄を加えた高級品があり、名取やプロ奏者が用いる撥は作者銘や流派印が押されることがあります。稀少な象牙撥はワシントン条約下で登録が必要となり、骨董市場でも証明書の有無が価値を左右します。
鼈甲や象牙は乾燥や紫外線に弱く、湿度40~60%、室温20℃前後で直射日光を避けて保管します。金属製金具や蒔絵部分は汗や湿気で劣化しやすいため、使用時は素手を避け手袋を着用し、ケースや専用箱で収納します。三味線バチは撥面の摩耗に注意し、演奏後は柔らかい布で拭いてから保管してください。
櫛、かんざし、三味線バチはいずれも日本の伝統工芸技術を用いた装飾具であり、実用性と美術性を兼ね備えた骨董品です。素材、技法、作者銘、来歴、保存状態が価値を左右し、高品質な逸品は国内外のコレクターから高い評価を受けます。適切な管理と鑑定を経て、次世代へ大切に継承されるべき文化遺産と言えるでしょう。
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