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中国古画軸装とは、中国の山水画・花鳥画・人物画・文人画などを絹本または紙本に描き、その絵画を折畳み可能な掛軸や手巻き軸、立軸などに仕立てた伝統的な表装形式です。室内装飾や儀礼・茶会で用いられ、鑑賞と保存を両立させる工芸品として発展しました。
軸装技法は唐代に確立し、宋・元・明・清を経て近現代に至ります。宋代には文人趣味の簡素掛軸が流行し、明清期には豪華な錦地表装と呼応して高級装潢が発展しました。掛軸の形式には縦軸(掛け軸)、横軸、手巻軸、立軸のほか、屏風仕立ての屏風軸など多彩なバリエーションがあります。
制作はまず絵画本体に裏打ち紙(麻紙や楮紙)を施し、次に裂地(絹・錦・綴錦など)で天地左右を縁取ります。裏打ちには澱粉糊や寒梅糊を用い、表装裂の裏にも薄紙を貼って補強します。軸先は紫檀・水牛角・象牙など高級素材、軸棒は唐木・竹製とし、風帯や本金箔の装飾を施すことがあります。
軸装は湿度変動や紫外線に弱く、40~60%の湿度・直射日光回避が必須です。掛け過ぎは絹地や和紙を痛めるため、展示期間を限定し、定期的に裏打ちの張替えや保存箱への収納を行います。鑑定では裏打ち紙の種類、折跡、修補痕の有無を観察し、原装か改装かを見極めます。
中国古画軸装は、絵画美術と表装工芸が融合した骨董ジャンルです。画題・作家の希少性、本紙と表具の保存状態、来歴資料の有無が評価の要点となります。適切な保存管理と鑑定を経て、次世代へ伝えるべき重要な文化遺産と言えるでしょう。
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