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唐物朱泥八角涼炉は、中国・宜興などの産地で焼かれた朱泥紫砂製の火鉢で、八角形(八面体)を基本形とします。煎茶席や室内装飾に用いられ、炭火の熱を囲む安定感と端正な几帳面な意匠が特長です。
「唐物」と呼ばれる中国陶磁器は、室町・桃山時代に日本へ輸入され、茶の湯の文化と結びつきました。朱泥製涼炉は江戸初期から中期にかけて茶席具の一部として重用され、海外にも渡るほど高い評価を得ました。
朱泥は酸化鉄分を多く含む紫砂土で、焼成後に鮮やかな赤褐色を呈します。成形は手捻りまたは型押しで行い、一次焼成後に薄く掛ける透明釉が独特の潤いを与え、二次焼成で朱泥の深みが増します。
八角形は風水的に繁栄を意味し、八方に熱を均一に放出する機能性も備えます。八面の側面ごとに彫文や浮彫が施される例も多く、幾何学的な対称美と実用性の融合が見どころです。
評価のポイントは制作年代、産地の銘、焼成時の窯変(かんぺん)の有無、造形の歪みの少なさ、彫文や刻印の鮮明さです。古いほど希少性が増し、桃山・江戸初期作は特に高額で取引されます。
ヒビ・欠け・補修跡がないか、釉の剥落や釉下の貫入(かんにゅう)が自然かを確認します。裏底に窯印や作家落款が残っているものは真贋判定が容易で、来歴書や旧蔵印の有無も価値向上に寄与します。
現在も茶室や数寄屋、リビングのインテリアとして人気です。骨董コレクターだけでなく、茶道家やインテリアデザイナーにも支持され、国内外のオークションやギャラリーで注目を集めています。
唐物朱泥八角涼炉は、伝統的技法と幾何学的意匠が調和した逸品であり、制作年代・産地・保存状態・来歴が評価を左右します。今後も煎茶文化や骨董市場で重要な存在として高い価値を保ち続けるでしょう。
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