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朱泥紫砂(しゅでいしさ)の茶こぼしは、中国・宜興(ぎこう)で産する朱泥紫砂土を用い、手捻り(てひねり)技法で成形された煎茶道具です。茶こぼしは急須から茶碗に茶を注ぐ際、茶葉の粉や細かな茶渋をこし取る器具で、煎茶席での実用性と意匠性を兼ね備えています。在銘品は作家や窯印が刻まれており、骨董品としての希少性と来歴が評価のポイントとなります。
手捻り(手ひねり)は、ろくろを使わず手作業で粘土を練り上げる技法。均一な厚みを保ちながら、指跡やわずかな歪みを残すのが特徴で、焼成後に生じる微妙なツヤや陰影が作品に味わいを与えます。茶こぼしは浅めの皿状に成形し、中央や縁に細い溝を入れて濾し機能を持たせることが多く、手捻り独特の柔らかなラインが美術的価値を高めます。
「在銘」とは作家名や窯印を作品に刻むことで、作者や制作年代が判明します。宜興朱泥の老舗窯や地方窯の名工が刻銘した茶こぼしは、来歴が明確で信用度が高く、骨董市場での人気が高まります。銘が鮮明に残っているものは、真贋判定の際の決め手となり、市場価格にも大きく影響します。
現代の煎茶文化復興や中国陶芸人気の高まりにより、朱泥紫砂茶こぼしは実用具としてだけでなく、インテリアとしても注目されています。在銘手捻り品は量産品と一線を画し、一点ものとしてのコレクターズアイテムとなっています。また日本国内外の骨董市やオンラインオークションでも積極的に取引され、人気が衰える気配はありません。
紫砂は過度の衝撃や急激な温度変化に弱いため、取り扱い時は布やウレタンマットを敷いた安定した場所に置きます。使用後は茶渋を軽く洗い流し、自然乾燥させることで、朱泥の色合いと飴化を長く保てます。共箱や栞、共布など付属品がある場合は、併せて保管することが望ましいです。
朱泥紫砂の手捻り在銘茶こぼしは、煎茶席の実用具としての機能と、手作りならではの造形美と経年変化による味わいを併せ持つ逸品です。在銘の来歴と保存状態、手捻り技法の個性が骨董的価値を決定づけ、市場では高値で取引されることが多いアイテムです。今後も煎茶文化の発展とともに、コレクターや愛好家から支持され続けることでしょう。
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