弓矢　竹矢　矢筒 買取実績

弓矢・竹矢・矢筒の骨董的価値と魅力

1. 日本の弓矢文化とその歴史

日本における弓矢（弓道具）の歴史は、縄文時代にまで遡ります。戦国時代には武士の主要武器として、また江戸時代には武士のたしなみとして発展し、弓術は「武道」の一つとして尊重されました。実戦の武器としてだけでなく、儀礼や競技、精神修養の道具としても広く用いられてきた弓矢には、美術工芸品としての価値が加わることも多く、骨董品としての市場でも高い評価を受けています。

2. 竹矢の特徴と製作技法

（1）素材と構造

竹矢は、その名の通り矢軸に良質な竹（主に真竹や矢竹）を用いて作られます。真っ直ぐな竹を選び、乾燥と火入れを施して矯正し、まっすぐな矢軸に仕上げます。羽根は主に鷲、鷹、鶴、雁などの羽が用いられ、美しさと実用性を兼ね備えています。

（2）構造と名称

• 矢尻（やじり）：金属や角製で、刺突力を高める部分。儀礼用では飾りに特化したものもある。


• 矢羽（やばね）：方向安定のために取り付けられる。対称に3枚または4枚付き。


• 筈（はず）：弦に掛けるための切り込みを持つ部分。水牛の角などで作られることが多い。

3. 矢筒の意匠と実用性

（1）素材と形状

矢筒は矢を携帯・保管するための道具で、革製や木製、漆塗りのものなど様々な種類があります。特に武家用の矢筒は装飾性が高く、蒔絵や金具細工が施されたものは工芸品としても高い価値を持ちます。用途によって「母衣筒（ほろづつ）」「箙（えびら）」「行筒（こうづつ）」などの種類に分かれます。

（2）装飾性

• 漆塗りや蒔絵：家紋や風景、唐草模様などがあしらわれている。


• 金具細工：鍛金や彫金が施された留め金や口金部分に技巧が見られる。


• 紐や緒締め：編み込みや染めなど、細部にも職人の技が光る。

4. 骨董市場における評価

（1）製作年代と希少性

戦国時代から江戸時代中期までに制作された竹矢や矢筒は、武家道具として希少性が高く、美術的価値も加味されます。特に藩主家や大名家に伝来した矢筒や、名工が手掛けた矢尻・筈付きの矢は数十万円〜数百万円で取引されることがあります。

（2）真贋判定のポイント

• 竹の質感：乾燥具合や矯正技術が時代を反映。


• 羽根の種類：天然羽使用で保存状態が良好なものは高評価。


• 矢筒の装飾：蒔絵や金具の意匠、家紋の存在などがポイント。


• 付属品：共箱や伝来書があると価値が大幅に上昇。

（3）保存状態の重要性

竹矢は天然素材ゆえに反りや虫食いの影響を受けやすく、矢筒も漆剥がれや革の硬化があると評価が下がります。羽根が残っていること、筈や矢尻の欠損がないことが重要です。矢筒は布袋や収納箱の有無が保存状態の維持に直結し、評価にも影響します。

5. 市場価格の目安

• 江戸時代の竹矢10本組（羽根・矢尻完備）：50万円〜150万円


• 蒔絵・家紋入り矢筒（保存状態良好）：80万円〜200万円


• 革製簡素矢筒（明治期以降）：20万円〜50万円


• 装飾簡略な現代作：5万円〜15万円

6. 現代における評価と需要

現在でも、弓矢や矢筒は武道愛好家や歴史資料収集家、茶道や香道の飾り道具として人気があります。特に武家文化を象徴する装飾品としての側面が注目され、インテリアや展示品としても需要が高まっています。海外の日本美術コレクターの関心も強く、オークションでも好成績を記録しています。

7. まとめ

弓矢、竹矢、矢筒は日本の武家文化を象徴する重要な道具であり、実用性と工芸性を兼ね備えた骨董品として高く評価されています。製作年代、素材、意匠、保存状態、付属品の有無などが価値を大きく左右し、特に装飾性に富んだ矢筒や希少な羽根付き竹矢は高額で取引されることも珍しくありません。今後も歴史的価値と美術的魅力を兼ね備えたコレクションアイテムとして注目が集まる分野です。