「結婚や成人のお祝いで買ったパール、いま売るといくら?」「実家の遺品のネックレス、価値はある?」——そんな疑問に、宝石のプロ目線で“いま必要なことだけ”を網羅しました。真珠は古い=価値がないではありません。巻き(厚み)・照り・サイズ・状態・ブランドが良ければ、年代が古くても評価されます。一方で、模造真珠(イミテーション)や、保管環境の影響で黄ばみ・劣化が進んだ品は減額対象。この記事では、種類別の相場目安/本真珠の見分け方/高く売るコツ/失敗しない業者選びまでを解説します。
真珠の価値を知る前に|基礎知識をおさらい
真珠とは?天然・養殖・模造の違い
- 天然真珠:野生貝の偶然の産物。希少で現行市場ではほぼ流通なし。古いアンティークジュエリーに見られます。
- 養殖真珠(本真珠):アコヤ・白蝶・黒蝶・マベ・淡水など。核や組織片を挿入し、貝の内側に真珠層(アラゴナイト+コンキオリン)が形成。現在の主流。
- 模造真珠(イミテーション):ガラス玉等にパールエッセンスを塗布。構造が異なり、巻き(層)がないため耐久・輝きともに劣ります。
主な真珠の種類(アコヤ・南洋・黒蝶・淡水)
- アコヤ真珠:日本の定番。“冠婚葬祭のホワイト系”といえばこれ。整った円形・繊細な照りが魅力。サイズは6.5–8.5mmが中心、9mm超は希少。
- 南洋白蝶真珠:オーストラリア・インドネシア等。大珠(10–15mm)と厚い巻き、クリーミーな色調。
- 黒蝶真珠(タヒチ):グリーン〜ピーコック系の干渉色が人気。個性が強く、色の深みと照りで評価。
- 淡水真珠:湖産。核なし多層巻きで近年品質向上。ラウンド〜バロックまで多彩で、手頃な価格帯が中心。
評価を左右する6つの要素(巻き・照り・形・キズ・色・サイズ)
- 巻き(厚み):層が厚いほど輝きが深く耐久性も高い。最重要。
- 照り:表層の鏡面反射+内部反射の総合力。輪郭がくっきり映るほど高評価。
- 形:ラウンド(真円)が最上位。オーバル、ドロップ、バロック(歪み)はデザイン性次第。
- キズ:面のえくぼ・窪み・擦れ。連で目立つ位置にあると減額。
- 色:ホワイト系はローズ/シルバー/クリームの干渉色、黒蝶はピーコック(緑×赤の干渉)が上位。
- サイズ:大きいほど稀少。アコヤ9mm超、南洋14mm超はプレミアレンジ。
真珠買取の相場一覧【2025年最新版】(目安)
※相場は品質(上記6要素)・連の長さ・クラスプ素材(K18/Pt)・ブランド、さらに為替や需要で変動します。以下は一般的な店頭買取の目安帯です。
アコヤ真珠の買取相場(ネックレス/指輪)
| アイテム | サイズ(目安) | 品質目安 |
|---|
| ネックレス(花珠クラス) | 8.0–8.5mm | 巻厚・強い照り・整列良 |
| ネックレス(良質) | 7.5–8.0mm | 照り良・小キズ |
| ネックレス(普及) | 7.0–7.5mm | 照り並・キズ散在 |
| 片玉ペンダント/指輪 | 8–9mm | 枠K18/Ptで加点 |
南洋白蝶真珠・黒蝶真珠の相場
| 種別 | サイズ | 品質・色 |
|---|
| 南洋白蝶ネックレス | 10–13mm | 巻厚・照り強・色ムラ少 |
| 黒蝶(タヒチ)ネックレス | 9–12mm | 濃色・ピーコック系 |
| 大珠ソリテール(指輪) | 12–14mm | キズ僅少・枠K18/Pt |
淡水真珠・バロック真珠の相場
| 種別 | 特徴 |
|---|
| 淡水ラウンド連 | 7–9mm、照り良 |
| バロック(各種) | デザイン性重視 |
ブランドパール(ミキモト・TASAKI・田崎真珠など)
| ブランド | アイテム | 参考買取帯(目安) |
|---|
| ミキモト | 花珠連/ブローチ/ペンダント | ブランド加点で相場上振れ(保証書・ケースで+α) |
| TASAKI(田崎真珠) | 高品質連・デザイン枠 | 同上。デザイン性で加点 |
| 他百貨店銘柄 | 百貨店保証等 | 付属品有で安定 |
ポイント:ブランドは品質の証明と市場需要を担保。保証書・鑑別書・ケースが揃うほど強いです。
真珠を高く売るためのポイント
状態を保つ(黄ばみ・変色対策)
真珠は有機質(コンキオリン)を含むため乾燥や酸・汗に弱い宝石。
- 使った日は柔らかいクロスで拭き取り、香水・ヘアスプレーは装着後に。
- 日光・高温多湿・密封長期はNG。通気性の良い布袋+個装で保管。
- 黄ばみ進行やクラックは減額大。日常のメンテが価値を守ります。
鑑定書・箱・保証書を一緒に提出
鑑別書(真珠の種類・処理の有無)、ブランド保証書、購入時レシート、ケースは信頼の裏付け。連の糸替え履歴があれば理想的。
宝石だけでなく「デザイン・ブランド」も評価してもらう
一点留めの名品ブローチ、ヴィンテージのミキモト/TASAKIの意匠は、素材以上の付加価値が乗ることがあります。宝石+デザイン+ブランドで見てもらえる店へ。
真珠の価値を下げてしまうNGポイント
劣化・乾燥・摩擦による傷み
- 超音波洗浄・研磨剤・メラミンスポンジは厳禁。
- 他のジュエリーと同収納で擦れると小傷や面曇りの原因。
- 長期未使用でも保管が悪いと黄変します(密閉×乾燥×高温は×)。
リフォームや加工で価値が変わるケース
デザイン変更や再研磨は元のブランド価値を損なうことがあり、査定で不利に。糸替えはプラスですが、珠の再配列で選別落ちがあると減点。
模造真珠(イミテーション)との混同に注意
- 歯当てテスト(そっと前歯に当てザラつく=本真珠の可能性)は目安程度。強くこすらない。
- 穴口の塗膜の段差・剥げ、異常な軽さはイミテーションのサイン。正式鑑別が最善です。
買取に出す前に確認すべきこと
鑑定書・保証書の有無
真珠の種類・処理の有無(染色・調色)が明記される鑑別は評価材料。ブランド品は保証書番号の一致も確認。
ネックレス・指輪などの金具素材(K18・Pt)も査定対象
クラスプ・枠は地金(K18/Pt900 等)として買取加点。重量(g)を測ってメモすると交渉がスムーズ。
真珠の直径・形状を測定してメモしておく
ノギス等で直径(mm)を実測(連はセンター珠の最大径)。長さ(cm)、珠数、珠のグラデーションも控えておきましょう。
おすすめの真珠買取先と特徴
宝石専門の買取店(ブランド評価重視)
- 強み:照り・巻き・選別・ブランドを総合評価。デザイン価値もプラスに。
- 選び方:宝石鑑定士在籍、査定根拠の開示、その場でサイズ実測できる店。
骨董品・美術品買取店(古い真珠・遺品整理向け)
- 強み:古いミキモトのアンティーク、珊瑚・翡翠と一括評価が得意。遺品整理でまとめ査定時に総額が伸びることも。
- 使い分け:宝石的価値+ヴィンテージ価値を見てほしいときに有効。
リサイクルショップ(低価格・簡易査定)
- 強み:手間が少ない。
- 弱み:真珠の品質評価が浅く安値になりがち。
ネット査定・宅配買取の活用方法
- 事前に写真で仮査定→宅配の流れ。サイズ・付属品・状態を統一フォーマットで送ると精度UP。
- 送料・返送無料を確認。キャンセル料ゼロが必須条件。
誘導メモ:古いパールネックレスでも、鑑定眼のある骨董品店や宝石専門店なら思わぬ高値がつくことがあります。
真珠を売るベストタイミングと市場動向
金・プラチナ相場と連動して価格が動く理由
クラスプや枠の地金相場が上がると買取基礎が上振れします。真珠本体と無関係に総額が底上げされる局面あり。
ブランド市場・海外需要の変化
海外需要が強い時期はミキモトや南洋大珠が堅調。黒蝶はピーコック系人気でメリハリが出やすい。
2025年現在の真珠相場の傾向(概観)
- アコヤは高品質・大珠にニーズ集中、普及帯は横ばい。
- 南洋・黒蝶はサイズ×照り×色の三拍子で強い。
- ヴィンテージ・ブランドの意匠は安定的に評価。
まとめ|真珠は「正しい査定」で価値が変わる
見た目では判断できないからこそ専門家へ
真珠は同じ白珠でも価格が何倍も違う宝石。巻き・照り・サイズ・キズの総合点とブランド・付属品が勝負です。
結論:処分の前に、まずは無料査定。
黄ばみや劣化が進む前、付属品が揃っているうちに査定へ。正しい準備と業者選びが、納得の高額買取への近道です。
付録:査定前チェックリスト
- 種類(アコヤ/南洋/黒蝶/淡水)を仮判定
- 直径(mm)・長さ(cm)・珠数・金具の素材(K18/Pt)を記録
- 照り・キズの位置が分かる写真を撮影(正面/斜め/留め具)
- 付属品(鑑別・保証・ケース・レシート)を同封
- クリーニングは柔拭きのみ(薬剤・超音波は使用しない)