「鍍金仏」阿弥陀如来坐像・如来立像 買取実績

概要

鍍金仏の阿弥陀如来坐像・如来立像は、金属製の仏像に金鍍金を施した仏教工芸品です。仏像本体は銅や青銅、合金などを鋳造し、表面に数度の金鍍金（湯浴法や電気鍍金）を重ねて金色の光沢を与えます。坐像は慈悲を示す来迎印、立像は施無畏印など異なる印相で表現され、各々が信仰・装飾・芸術性を兼ね備えます。

歴史的背景

金鍍金仏の技法はインド・中国を経て日本に伝来し、平安時代後期から鎌倉期にかけて宮廷・寺院で流行しました。特に鎌倉仏師の工房や天台・真言宗寺院で制作された例が多く、江戸期には復古様式で再興。各時代における宗派の要請や修理需要に応じて金鍍の厚みや文様が変化しました。

意匠と造形の特徴

坐像は蓮華座に坐し、左手に説法印や来迎印を結ぶ形が多いのに対し、立像は立膝や左右対称の施無畏・与願印を示します。衣の流れは自然的で、肉取り（肉付け）の豊かさや衣文線の深さが時代と作風を示します。光背は蓮弁文様や龍頭・火炎光背などさまざまです。

制作技法と鍍金工程

鋳造は失い型（ロストワックス）または砂型鋳造で原形を得て、彫金や彫刻で細部を整えます。下地には銅素地をクリーニング後、銅めっきや銀めっきを施し、最終的に24～22金の金粉を湯浴法で鍍金。複数層を重ねることで厚みを出し、経年で摩耗した下地の色が浅く顔をのぞかせる「化粧落ち景色」を楽しめます。

骨董的評価ポイント

• 鍍金の残存度：金層の均一性と厚み、剥落や擦れの度合い


• 鋳造・彫技：素地の鋳肌、彫刻の深さと細部の仕上げ


• 印相と表情：仏の表情の穏やかさ、印相の正確さ


• 光背・台座：光背文様や台座の意匠、蓮華弁の立ち上がり


• 保存状態：腐食（緑青）や補修跡、漆箔の有無


• 来歴資料：寺院伝来記録、修理記録、共箱や鑑定書

市場価格の目安

鎌倉～南北朝期の古件無銘良品は時価で300万～800万円、室町以降の復古様式作や江戸後期作は100万～300万円、保存に難がある小型品は30万～80万円が相場です。来歴が明確な重要文化財級の寺伝来品は千万単位となることがあります。

保存管理と取り扱い

鍍金仏は湿度変動と塩分・硫化ガスに弱いため、室温20℃前後・湿度40～60％で管理。埃は柔らかな筆や布で優しく払い、化学薬品は使用せず、金層保護のため防硫シートと陳列ケースを活用します。展示時はUVカットガラスを推奨。

まとめ

「鍍金仏」阿弥陀如来坐像・如来立像は、鋳造・彫金・鍍金の高度な技術が結実した逸品です。鍍金の残存度、素地と彫刻の完成度、印相・意匠、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで骨董的価値が最大化し、仏教美術コレクターや寺院関係者から今後も高い評価を受けることでしょう。