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チベット仏教鍍金歓喜仏(まんぎぶつ)は、チベット密教の儀軌に基づき製作された銅製仏像に金鍍金を施したもので、密教儀礼や護符として信仰の対象とされました。手に金剛杵や鈴を持ち、歓喜天(ガネーシャや自在天)として畏敬を集め、骨董品としては密教美術と鍍金技術の融合が評価されます。
歓喜仏はインド由来のヒンドゥー神ガネーシャが密教に取り込まれた姿で、13世紀以降、チベット僧院にて盛んに鋳造されました。モンゴル高原への伝播や清朝時代の皇族信仰を経て、中国・ネパール・ラダックなど広範囲で制作され、19世紀末から20世紀初頭の作例が流通しています。
歓喜仏は両頭一体(二面二臂)または一頭二臂の形式があり、象頭を持つこともあります。象徴的な金剛杵と鉦、あるいは果実や蓮華を手にし、胴体には装身具を纏い、豊満な肢体が幸福や繁栄を象徴。台座は蓮華座や獅子座で、台刳りには八吉祥文や眷属像が細かく鋳出されます。
主材は青銅(銅錫合金)で、失い型鋳造または砂型鋳造によって粗彫りした後、彫金や彫刻で細部を整えます。表面には数度にわたる金鍍金(湯浴法や電解法)を施し、漆で保護層を作成。金層の厚みや下地処理、彫金の残存度が作品の格を左右します。
19世紀末〜20世紀初頭作と推定される良品は150万~300万円。希少形式や仏納札付きは500万円超も。小型の写しや補修痕が多いものは30万~80万円が相場です。金鍍金の残存度と来歴資料で価格が大きく変動します。
金鍍金は傷つきやすく、緑青の進行を抑えるため湿度50~60%、直射日光・エアコン風を避ける環境が望ましいです。埃は柔らかな刷毛で優しく払い、化学薬品や布研磨剤の使用は避けて金層保護に努めます。
チベット仏教鍍金歓喜仏は、鋳造技術、彫金表現、金鍍金の高度な調和が評価される骨董品です。鋳造痕、金層、彫刻、保存状態、来歴の五要素が揃うことで真の価値を発揮し、密教美術コレクターや仏教文化研究家から今後も高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。
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