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ベルナール・ビュッフェ(Bernard Buffet, 1928–1999)は、戦後フランスを代表する表現主義画家です。1947年に最年少でサロン・ドートンヌ展に入選し、50年代には線描を強調した独自の「折れ線的」な筆致で一躍注目を浴びました。人間や風景、静物を鋭い直線と暗い色彩で描くビュッフェの画風は、孤独と冷厳を象徴し、当時の戦後精神を映す鏡とも評されています。
ビュッフェの油彩は、まず黒い輪郭線で対象をかたちづくり、その内側を冷たい鉛白や胭脂(えんじ)色、暗い緑・茶色で埋める手法が特徴です。筆跡は直線的で硬く、色彩の濃淡と輪郭のコントラストが強烈な印象を生み出します。キャンバス地をあえて露出させることもあり、マチエール(絵肌)の粗さが作品に独特のテクスチュアを与えています。
ビュッフェ作品の真贋鑑定では、キャンバス裏の署名・日付、作品ごとのシリアル番号の有無をまず確認します。筆致の折れ線的特徴や絵肌の厚み、使用顔料の成分も重要です。専門機関による赤外線検査で下絵の線描を調べると、本物の筆跡パターンが浮かび上がります。
ビュッフェの主要な大作〈悲しむ獅子〉〈ストリップ劇場〉などは、オークションで数千万円から億円単位で取引されることがあります。小品やリトグラフは数十万円程度から入手可能ですが、シートナンバーや画集付録版のエディションなど付属資料の有無で価格が変動します。
ビュッフェ作品はその強い個性と歴史的背景ゆえに、コレクターの注目を集めます。並べて飾ることで戦後表現主義の流れが一望でき、時代精神を感じる展示効果も高いです。リトグラフやリトグラフ版画も豊富に残されているため、入門用にも適しています。
油彩作品は湿度変化や直射日光による顔料の退色、キャンバス地の収縮を避ける必要があります。温湿度は20℃前後・湿度50%前後が理想で、UVカットガラスの額装を施すと良好です。絵肌の亀裂やキャンバス裏の張り具合も定期点検し、専門家によるマチエール補修を適宜行ってください。
ベルナール・ビュッフェの洋画は、戦後の孤独と冷厳を象徴する強烈な表現主義作品として高い骨董価値を有します。真贋鑑定、保存・取り扱いを徹底することで、その美術史的価値と投資価値を次世代へと受け継ぐことができます。
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