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拓本(たくほん)は、石碑や墓誌、銅器などに刻まれた文字・文様を、墨や炭を用いて紙に転写したものです。中国では魏晋南北朝から明清時代に至るまで、碑刻や名帖を後世に伝える手段として発展しました。拓本は書法(書道)の研究資料であると同時に、墨色の美しさや紙質の風合いが楽しめる美術工芸品としても評価されます。
名跡原拓本とは、現地で最初に採拓されたオリジナルの拓本を指し、二次拓や後世の臨書とは異なり、刻字の凹凸や古拓特有の擦れがリアルに残ります。唐代の欧陽詢、顏真卿、唐寅など代表的な書家の原拓本は、書風の成立史を知る上で欠かせない一次資料です。しかも現存数が極めて少ないため、博物館級の価値を持つことがあります。
まず「原拓」「初拓」か否か、次に拓紙(宣紙)の質、墨色の濃淡、拓痕の鋭さが見られます。紙の折れや擦れ、虫損が少なく、拓面が鮮明であるほど評価は高まります。また、旧蔵印や箱書き、伝来書など来歴資料が整っているものは真贋判定が容易なうえ市場価値も上昇します。
拓本は紙の経年劣化を避けるため、適度な湿度管理と光線の遮断が必要です。裂れや虫穴、墨の剥落が少ないものが優品とされます。鑑定時には紙縁の折り返し方、裏打ちの有無、拓紙の薄さなど専門的な観察を行い、原拓か後補かを見極めます。
現代の書道研究者、美術館、コレクターにとって、原拓本は貴重な一次史料です。企業の応接室や住宅の茶室装飾としても人気が高まり、中国本土や台湾、香港をはじめ欧米の東洋美術市場でも高額取引が行われています。
中国拓本、特に書道名跡原拓本は、書道史研究と美術工芸品として二重の価値を持つ希少品です。拓紙と墨の状態、原拓か後拓かの見極め、来歴資料の有無が評価を決定づけ、数十点揃いであれば一コレクションとしての完成度も高く、今後も骨董市場で重要な位置を占め続けるでしょう。
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