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中国拓本古書一式とは、碑版や石刻・金石文を紙に拓写した拓本と、それらを解説・収録した古書類を一括したコレクションを指します。拓本は石碑や墓誌、銅器銘文などの文字情報を原寸で後世に残す技術品で、古書は拓本を基に編纂された版本・写本や考証書を含みます。
拓本技術は魏晋南北朝期に始まり、唐宋以降に盛行しました。科挙や官吏登用のための学習資料や、文人による刻字学研究の資料として重用され、金石学(文献学・考古学)の基礎を築きました。古書には『集古録』『金石志』などの名著があり、拓本とともに漢字文化圏全域の文字史・書法史を伝えます。
拓本は墨を付けた拓粉を湿した宣紙に刷り込む「湿拓」、紙を石面に貼り付けて均す「貼拓」など複数の手法があります。宣紙は繊維が長く強靱で、墨のにじみと文字の輪郭が鮮明に表現されます。拓粉や墨の調合にも流派があり、色調や耐久性に差異が生じます。
古書部分には、木版本・刊本・写本・刻本などが含まれます。代表的なものに宋版の『集古録』、明代刻印の『資治通鑑金石録』、清代の刻写本『石渠宝笈』拓本編などがあります。版式によって装訂様式・題簽・版心の刻印が異なり、真贋や年代判定の手がかりとなります。
拓本の真偽は、紙の経年変化(黄変、虫損)、拓粉の粒度、墨跡の乗り方で判定します。古書は紙の漉き跡、綴じ糸の素材、木版の虫穴跡、版ズレ・刷りムラの有無を観察し、江戸期の模刻や後刷り本との違いを見極めます。
拓本古書一式は収録内容の希少性・原碑の重要度・拓本品質・附属古書の完全性で評価が大きく変動します。宋代拓本を含む完全揃いは数十万〜百万円以上、稀覯本や名碑拓本を含む場合は数百万円の落札例もあります。
拓本・古書ともに湿度変化に弱く、黄変やカビ、虫損を防ぐため温度20℃前後・湿度50%前後で管理します。拓本は裏打ち強化や中性保存用紙によるマウント保存、古書は和装本用保存箱に収め、専門の保存修復士による点検・修理を定期的に行うことが望ましいです。
中国拓本古書一式は、文字史や書法研究、金石学の一次資料として学術的価値が高いだけでなく、拓本の墨色や古書の装幀美を鑑賞する美術的価値も兼ね備えています。各時代の拓本・本の版式を比較しながら蒐集・展示することで、東アジア文化の広がりを実感できます。
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