割蓋茶器「キセト」 買取実績

買取品名
割蓋茶器「キセト」
買取エリア
奈良県桜井市
買取額

コメント
箱付きの状態の良い割蓋茶器を買い取りました。

割蓋茶器「キセト」の概要


割蓋茶器「キセト」とは、主に抹茶を薄茶用に調合して運び出すための茶入れ(中次)の一種で、特有の二重蓋構造を持つ点に特徴があります。外蓋と内蓋が一体化せずに分かれており、外蓋のみを開けて中蓋を保持したまま用途に応じた取り扱いがしやすい設計です。特に「キセト」と呼ばれる黄瀬戸釉を施したものは、温かみのある淡い黄色が茶席に優雅な彩りを添えます。



歴史的背景と産地


黄瀬戸は室町時代末期から桃山時代にかけて美濃地方で発展した技法で、瀬戸焼の一系統として確立しました。割蓋茶器の形式は江戸時代中期以降に茶道具として普及し、千家流の薄茶点前に適した道具として定着。美濃国瀬戸窯や古瀬戸窯で制作されたものが知られ、写実的な稟議や転写技法を施した古絵付タイプも稀少品として扱われます。



キセト釉の特徴


「キセト」釉は、鉄分を含む灰釉を酸化焼成で焼き締めた結果、淡い蜜柑色から卵黄色のムラが生じるのが魅力です。焼成中の還元/酸化の差によって濃淡が生まれ、器面には釉の垂れや結晶化した斑点が散らばります。釉薬層はうっすらと半透明で、素地に塗り重ねることで独特の柔らかな光沢を放ちます。



造形とデザイン


割蓋茶器は、胴部がやや張りのある筒形または腹丸形で、中次本体と内蓋・外蓋の高さバランスが綿密に計算されています。蓋の縁には指掛けを兼ねた凹みや小さな摘みが設けられ、取り扱いのしやすさを考慮。口縁部は薄く立ち上げられ、茶筌(ちゃせん)で抹茶をすくう際に干渉しない形状です。



制作技法と工程


素地には瀬戸特有の鉄分を含む陶土が用いられ、ロクロ挽きによって成形後、乾燥させて素焼きを行います。その後、キセト釉を掛け流し、約1,250℃で酸化焼成。割蓋用の蓋を別作し、素焼き後に同じ釉薬工程を経ることで蓋と本体の色調を揃えます。焼成後は蓋の嵌合精度を細かく調整し、気密性と使い勝手を両立させます。



鑑定ポイントと真贋


真作の見分けでは、まず釉面のムラや貫入(かんにゅう)の入り方を観察。キセト釉の自然な発色グラデーションと、釉厚の均一性が重要です。また、内蓋の土味(どみ)や本体との嵌合感、ロクロ跡の滑らかさから手挽きか機械挽きかを判断します。底部には古銘や陶印、または書き銘が入ることがあり、利休型の箱書きや共箱の墨書も真贋の手がかりとなります。



市場価値と取引事例


良品の割蓋キセト茶器は、古美術店やオークションで数十万円~百万円台で取引されることがあります。桃山期や江戸初期の稀少品はより高額になり、ときには数百万円の落札例も。近代の名工作や共箱・仕覆付きの作品は保存状態に加え、来歴や箱書きの権威によって価格が大きく変動します。



コレクションとしての魅力


割蓋茶器「キセト」は、本体と蓋を別々に鑑賞できる点や、黄釉の温かな色調が茶席に独特の趣を与える点で人気があります。形状の美しさや釉彩の深みは、茶道具コレクターのみならず陶芸ファンからも高く評価。複数点を揃えて季節ごとに使い分ける楽しみもあります。



取扱い・保存の注意点


陶器製品であるため、急激な温度変化や衝撃に弱い点に注意。使用後は中蓋・外蓋を外し、内側の抹茶残りを乾燥させてから柔らかな布で優しく拭き取ります。直射日光や過度な湿度を避け、桐箱や専用の仕覆に包んで保管すると貫入への汚れの浸入を防げます。



まとめ


割蓋茶器「キセト」は、桃山・江戸時代から続く黄瀬戸技法と割蓋構造を融合させた希少な茶道具です。鑑定では釉彩の発色、蓋との嵌合精度、箱書きの真偽を総合的に判断し、保存管理に注意することで、その美しさと歴史的価値を長く楽しむことができます。



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