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千家十職に連なる大樋家の九代・大樋長左衛門(陶土斎)作の飴釉茶碗は、伝統と作家性が結びついた茶道具の代表格です。「鵬雲斎書付箱」が付属する個体は、来歴(プロヴェナンス)が明確で茶席用具としての価値が高まります。
九代大樋長左衛門(1901–1986)は大樋焼の伝統を受け継ぎ、現代工芸の舞台で高い評価を得た名工です。薄作で軽やかな造形、飴釉や黒釉などの釉調表現に定評があり、裏千家より「陶土斎」の号を受けるなど茶道界との結びつきも強い点が評価されます。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
飴釉は鉄分を含む素地に高温で焼き、飴色の半透明〜褐色の釉調が出ることで知られます。九代の飴釉は厚薄や窯変による発色の濃淡、口縁・見込みの景(釉の落ち具合や光沢)が味わいの鍵で、手取りの軽さと釉調の「景色」が茶碗としての価値を左右します。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
裏千家十五代・鵬雲斎による箱書(書付)は、道具の品質と用途を家元が認めた証として重視されます。書付は家元筋の仲介や申請の上で行われることが多く、箱書きが揃う個体は学術的・市場的に高い信頼を得やすいです。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
鑑定では(1)高台裏の印章や落款(「長左衛門」等)、(2)胎土の練りと透光性、(3)飴釉の釉層・窯変の自然さ、(4)口縁・見込みの削りと手取り感、(5)箱書・共布・仕覆の筆跡と整合性を総合的に確認します。刻印や箱書のみで即断せず、手仕事の痕跡と経年の景色を重視することが重要です。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
飴釉茶碗は急冷急熱や強い衝撃で割れやニュウ(ひび)が入りやすいため使用・保管ともに注意が必要です。洗浄は中性洗剤で手洗いし、強い研磨や漂白剤は避けます。共箱・箱書・仕覆は来歴証明として必ず保管してください。
九代作の飴釉茶碗は作行き・状態・箱書の有無で相場が大きく変わります。共箱かつ鵬雲斎書付の揃った品は市場での流動性が高く、オークションやネット取引で実際の落札例が見られるため、査定時は近時の落札履歴を照合すると実勢価格が掴みやすくなります。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
出品・査定時は高解像度の写真(表面・高台裏・見込み・箱書)と寸法・重量・付属書類を揃えて提出してください。疑義がある場合は茶道具専門の実見鑑定を依頼し、修復歴や補修の有無は正確に開示することが信頼に繋がります。
千家十職の伝統と九代の作風が結実した飴釉茶碗は、釉景・手取り・来歴(鵬雲斎書付箱)が価値を決める総合骨董です。真贋は刻印や箱書だけでなく土味・釉景・細部の手仕事痕を総合して判断し、適切な保存と来歴管理を行えば価値を長く保てます。
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