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古伊万里染付八角皿は、江戸時代前期から中期にかけて佐賀県有田で焼かれた磁器の逸品です。八角形のユニークな輪郭に、藍一色で草花文や几帳文、龍虎文などを繊細に絵付けした意匠が特徴。皿縁の八つの角と深めの高台が器形の美しさを際立たせ、食卓だけでなく飾皿としても鑑賞価値が高い骨董品です。
伊万里焼は1616年ごろ、有田窯での磁器焼成開始とともに育ち、鍋島藩の保護下で品質改良とデザインの多様化が進みました。染付は、中国・景徳鎮の影響を受けつつ日本独自の自由奔放な筆致を獲得。八角皿は慶安~元禄期に流行し、武家や町衆の茶膳具や祝い膳に用いられました。
胎土には地元有田の陶石と長石を調合し、轆轤成形後に素焼き。呉須(コバルト顔料)で絵付けし、高温(約1,280℃)で本焼成します。呉須は焼成中に青味がきわだち、染付の深みを生む技法です。八角形の切り出しは型抜きではなく職人の手作業によるもので、微妙に異なる輪郭が手仕事の証しとなります。
古伊万里染付の文様は大別して「松竹梅」「唐草」「几帳」「龍虎」「風景画」などがあり、縁部に八角の角線を強調する飾り線が用いられます。中心には花卉や人物画を配し、皿縁には花菱や連続波頭模様をめぐらす構成が多い。染付は濃淡の筆遣いで立体感を表現し、余白を効果的に活かす余裕のある画面構成が魅力です。
元禄~享保期の無傷極上古手は100万円~300万円、箱書き共箱付きは200万円~500万円。江戸後期写しや小さな欠け補修ありは30万円~80万円、来歴不明・無銘の使用品は10万円~30万円が相場です。
磁器は急激な温度変化でヒビが入りやすいため、冷温差を避け、温度20℃前後・湿度50%前後の常温環境で保管します。展示や使用は柔らかな布やフェルトの上が望ましく、重ね置きは避け、輸送時は緩衝材で丁寧に包んでください。
古伊万里染付八角皿は、有田窯の染付技術と八角形フォルムの組み合わせが生んだ稀少な骨董品です。時代判定、呉須の鮮やかさ、八角形の整合性、高台造形、保存状態、来歴資料のそろい具合が総合評価を決定します。優品は今後もコレクター市場で高い需要と評価を維持し続けることでしょう。
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