古備前急須 買取実績

買取品名
古備前急須
買取エリア
滋賀県長浜市
買取額

コメント
古備前急須を買取させていただきました。






古備前急須の骨董的価値



古備前急須とは


古備前急須は、備前焼の伝統を受け継ぐ急須(きゅうす)で、主に江戸時代から明治期にかけて備前地方(岡山県備前市周辺)の窯場で焼造されたものを指します。素朴で堅牢な無釉の陶土肌、鉄分による自然な発色、さらに長年の茶湯使用で醸成される飴色の「飴化(あめか)」が特徴です。煎茶や緑茶を淹れる実用品であると同時に、茶席や骨董コレクターに愛される逸品です。



歴史的背景


備前焼は奈良時代から続く伝統窯ですが、急須形式が確立するのは江戸中期以降です。唐物急須や京急須を模したものも多いものの、茶陶としての備前急須は用と美を両立させるために地元の陶工が改良を重ねた結果、独自の造形美を獲得しました。明治期には海外への輸出品としても人気を博し、骨董市場における評価を早くから確立しました。



制作技法と素材


原料の陶土は地元産の赤土を主体とし、鉄分を多く含むため還元焼成時に独特の緋色(ひいろ)や黒褐色が現れます。成形は轆轤(ろくろ)による挽成が基本で、手捻りによる温かみのある仕上げも見られます。釉薬をかけない無釉であるため、急須内外の肌理(きめ)がそのまま残り、使い込むほどに茶のタンニンが染み込み、飴化の風合いが深まります。



意匠とデザイン


形状は漢風急須や地胆急須といった典型的な姿がありますが、胴に施された彫文や刻印、象嵌(金属等のはめ込み)を伴うもの、蓋摘みが獣頭や唐草文の意匠を模したものなど多彩です。取っ手は側手(横手)と背手(背面手)に分かれ、茶席の演出や利便性を考慮したデザインが光ります。胴の輪花や鉄絵を施している例もあり、骨董的な見どころとなります。



骨董的評価のポイント



  • 焼成年代の特定:江戸中期〜明治期のものは希少価値が高く評価される。

  • 窯印・銘の有無:古窯場の印、陶工の刀印などが残るものは来歴を裏付け、評価が上がる。

  • 飴化の深まり:表面の飴色の濃淡や艶は使用歴の証。自然な飴化ほど高評価。

  • 欠け・補修の有無:無傷の完全品は最高評価。金継ぎ補修痕があっても、上質な手直しは評価を維持。

  • 外観の景色:緋色や黒褐色のムラ、焼成時の窯変(焦げ斑・剥落斑)が美観を豊かにする。



市場価格の目安



  • 江戸中期〜後期作・無傷/飴化良好:80万円〜150万円

  • 明治期作・窯印・使用痕少:40万円〜80万円

  • 小傷・軽い補修あり:20万円〜40万円

  • 大きな欠け・重大な補修痕:5万円〜20万円



保存・取り扱いの留意点


無釉の備前急須は汚れが付きやすいため、使用後は湯洗いのみで茶渋を落とし、洗剤は避けます。急激な温度変化で割れやすいため、冷水から熱湯へ直接入れないこと。長期保管時は湿度変化を避け、通気を良くした場所で保管します。共箱や風呂敷などの付属品の有無も来歴証明として重要です。



まとめ


古備前急須は、備前焼の素朴な魅力と煎茶道具としての機能美を兼ね備えた骨董品です。制作年代・窯印・飴化の具合・保存状態が評価を左右し、完成度の高い逸品は茶席だけでなくコレクターズアイテムとして高額取引されます。今後も日本の茶文化と陶芸史を語る上で欠かせない遺産として、国内外の愛好家から注目され続けることでしょう。






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