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和同開珎は、奈良時代初頭の708年(和銅元年)に鋳造が始まった日本最初の本格的な銅銭であり、日本貨幣史の起点ともいえる重要な古銭です。
その名は「和銅」の元号と「開珎(貨幣を開く)」に由来し、国家として統一的な貨幣制度を築こうとした当時の政治的・経済的意図を反映しています。
現存する和同開珎には、銅製・銀製・金製などのバリエーションが存在し、鋳造地や時代によって形状・書体・質感が異なる点が収集家の大きな関心を集めています。
和同開珎は、円形の外形に方孔を持つ「円形方孔銭」の形式を採用しており、当時の中国・唐の開元通宝を模して作られたといわれています。
表面には「和同開珎」の四字が鋳出され、裏面は無文。径約2.4cm前後、重量は3〜4g前後が一般的です。
初期の和同開珎は比較的厚手で、文字が力強く彫られているのが特徴であり、時代が下るにつれて鋳造技術の変化による差異が見られます。
鋳造は武蔵国秩父郡(現・埼玉県秩父地方)で行われたとされ、当地で採掘された和銅(自然銅)を原料としたことから、国産貨幣の象徴として後世に語り継がれています。
また、和同開珎には銅銭のほかに、金製・銀製のものも少量確認されており、これらは流通貨幣というよりも儀礼的・献上用として製作されたと考えられています。
特に金銭は極めて希少で、学術的にも文化財的価値が高いとされ、博物館級の資料として扱われています。
和同開珎は、単なる古銭ではなく、日本経済史・文化史の象徴ともいえる存在です。
そのため、骨董市場や古銭コレクターの間では、保存状態・材質・鋳造時期などによって評価が大きく異なります。
価値を左右する主な要素には以下のようなものがあります。
特に、鋳上がりが良く文字が明瞭な個体や、鋳跡の残るものは高く評価されます。
さらに、出土地や伝来の記録が残っている場合、その学術的・資料的価値は一層高まります。
和同開珎は全国各地で出土していますが、完全な形で残るものは少なく、完全円形で孔の欠けがないものは希少です。
こうした点から、古銭コレクターだけでなく、考古学や歴史研究の分野でも注目される存在となっています。
今回お譲りいただいた和同開珎は、保存状態が非常に良く、銅質の発色や鋳造の輪郭が明瞭な、歴史的価値の高いお品でした。
奈良時代という古代国家形成期に生まれた和同開珎は、日本貨幣史における原点であり、その存在自体が当時の技術力と国家制度の成熟を物語っています。
寿永堂では、このような古銭・古金銀・大判小判・領国貨幣などの歴史的価値を持つ貨幣類を、専門知識を有する鑑定士が一点ずつ丁寧に査定しております。
保存状態・時代背景・学術的意義を総合的に判断し、誠実な評価を行います。
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