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唐三彩(とうさんさい)は中国・唐代(8世紀)に盛行した彩釉陶器で、緑・褐・乳白の三色釉を主要に、動物や人物像などに華やかな色絵を施す技法を指します。本品「唐三彩小皿五客」は小皿を五枚揃えた揃い物で、五客揃いは完全品の証として骨董市場で特に評価が高い組み合わせです。
唐代の三彩陶は都・長安の洛陽付近で生産され、主に高官や富裕層の墓に陪葬品として埋葬されました。彩釉の鮮やかさは来世の豊穣や繁栄を象徴し、俑や動物像と共に茶席や宴席の飾り物としても用いられた痕跡が残ります。近世には日本や欧州にも渡り、唐物趣味を代表する陶磁コレクションとして珍重されました。
胎土は細かく精緻な黄土を使用し、素焼き後に酸化鉄・銅・金などの金属顔料を釉薬に混ぜて施釉。高温(約1,250℃)で還元焼成し、緑釉は銅、褐釉は鉄、乳白釉は鉛カルシウムによる発色を生じさせます。小皿は轆轤(ろくろ)成形か型押しで形を取り、口縁や高台の作り込みに職人の技が現れます。
典型的な小皿は口縁を軽く反らせ、皿面中央に花文や雲文、動物文様を高浮彫または浅彫で表現します。本品五客揃いは、各皿に異なる吉祥文様(例えば蓮華文、牡丹文、夔龍文など)を配し、揃いの統一感と一枚ごとの変化を楽しめる構成です。釉薬の濃淡や流れ具合が一客ずつ微妙に異なる点も見どころです。
完全五客揃いの唐三彩小皿は、保存状態良好・来歴明確なものが500万~1,000万円台で取引される例があります。小さなチップや軽微なカケがある場合は200万~500万円、彩釉剥落や大規模修復を伴う場合は100万~200万円程度が相場です。
唐三彩の釉薬は古陶磁として貫入や窯変が進行しやすいため、湿度40~60%、室温20℃前後の環境で保管します。埃は柔らかな毛筆や極細繊維布で優しく払う程度とし、水洗いは避けます。展示時はUVカットガラスケース内が望ましく、揃い五客を一括して飾ることで完全品の印象を損ないません。
唐三彩小皿五客揃いは、三色釉の鮮やかさ、揃い物としての希少性、造形と装飾技法の精緻さ、保存状態、来歴資料の五要素が揃うことで真の骨董的価値を発揮します。茶席や室内装飾だけでなく、歴史的美術品としても高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。
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