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島岡達三(しまおか たつぞう、1919–2007)は、日本の現代陶芸を代表する人間国宝(重要無形文化財保持者)で、特に「打刷毛目(うちはけめ)」の技法を用いた蓋物(ふたもの)が広く評価されています。本作は、素朴さと力強さを併せ持つ打刷毛目の表情豊かな陶蓋物で、蓋と身の調和、刷毛目文のリズム、土味の豊かさが魅力です。骨董品としては作家銘、技法、土質、意匠、保存状態、来歴資料の六要素が価値を決定します。
島岡達三は備前陶の伝統を継承しつつ、1950年代以降、鉄分を含む土に白化粧を施し、木製刷毛で刷き落とす「打刷毛目」技法を確立。白土と鉄釉のコントラストで独特の景色を描き出し、素地の土味を生かす作風が特徴。1960年に重要無形文化財「備前焼技術」保持者に認定され、国内外で高い評価を受けました。
土は岡山県備前地方の赤土を使用し、適度に乾燥させた後、轆轤または手びねりで成形。素焼き後、白化粧土を刷毛で厚くかけ、乾燥ののち木製刷毛で叩くように打ち落として鉄分を含む地肌を部分的に露出させる。還元焼成(1,200~1,300℃)により、白化粧と地肌が緋色・焦げ茶色に焼き分けられ、土と釉薬が融合した深い表情を得ます。
本蓋物は、円筒形または胴張り形の身に、緩やかにすぼまる蓋を組み合わせ、刷毛目文が上下の接合にまたがるよう連続性を持たせています。刷毛目は力強い縦線と横線が交差し、叩きのリズムが器面に動きを与える。高台はやや深めに切り込み、代わり高台の外周にも刷毛目を配して、一体感を演出します。
島岡達三の打刷毛蓋物は、無傷・共箱付で一般的に50万~150万円が相場。刷毛目の景色が特に優れた一点は200万円を超える場合もあります。共箱欠損や小チップありの場合は相場の70~80%程度となります。
陶器は急激な温度変化に弱いため、電子レンジや食洗機は避け、手洗い後は柔らかな布で水分を拭き取る。直射日光を避け、湿度50~60%・室温20℃前後の環境で保管。化粧土層は衝撃で剥落しやすいため、緩衝材入りの箱で保護すると長期保存に適します。
島岡達三の打刷毛蓋物は、作家銘、技法、土質、造形、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで骨董的価値を最大化します。備前焼の伝統と現代陶芸の革新を体現する逸品として、陶芸コレクターや美術館、研究者から今後も高い評価を受け続けることでしょう。
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