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巻物書画梅花図は、紙本または絹本に墨や彩色で梅の花を描き、軸装または冊子装とした作品です。中国の南宋・元代、日本の室町以降に盛行し、文人や茶人の間で愛好されました。骨董品としては、画家の筆跡、時代、表装の質、保存状態が価値を左右します。
梅は「寒中の花」として宋元を通じ文人画の定番題材となり、中国では王維や文徴明ら、日本では雪舟・雪村などが名品を残しました。厳寒に先駆けて咲く梅花は耐寒・高潔の象徴とされ、禅僧や武士の精神を映すモチーフとして茶席や書斎で重用されました。
墨一色で梅枝と花弁を表現する水墨画から、薄墨と淡彩を重ねる工筆技法、金銀泥をアクセントに用いた豪華絵まで多様です。岩絵具や顔料を用いる場合は耐候性が高まり、色あせが少ないため、古筆でも鮮明な発色が残るものは高く評価されます。
軸装では表具裂地の文様や軸先の素材が作品の格を決めます。室町期の古裂や江戸期の錦布を用いた本表具は希少で、裏打ち紙の質や仕立て技法の丁寧さも評価対象です。冊子装(折本)や冊子形合わせ軸も、用途に応じた仕立ての美しさが価値を高めます。
著名画家真筆の南宋・元代作巻物は数百万円~数千万円、日本室町期や桃山期の作は200万円~800万円、江戸後期の写しや名流書家作は50万円~200万円が相場です。小品や後世の模写は数万円~数十万円と幅があります。
掛軸や冊子は湿度50%前後、温度20℃前後で保管し、直射日光を避けることが重要です。展示期間は短くし、定期的に裏打ち替えや裂地補修を専門家に依頼してください。鑑定では赤外線やX線による裏打ち層の解析、墨・顔料の化学分析が有効です。
巻物書画梅花図は、東洋の文人趣味と絵画技法の粋を結集した骨董品です。作家性、制作年代、表装、保存状態、来歴など多角的に評価し、真筆・良品であれば高い市場価値と学術的価値を有します。今後も茶道・書斎・コレクションの要として注目され続けるでしょう。
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