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本品は江戸末期から明治期にかけて活躍した金工細工作家による帯留め4点の組み合わせです。素材は主に赤銅(しゃくどう)・白銅(はくどう)・銀・金の組み合わせで、象嵌(ぞうがん)や彫金・金鍍金などの高度な技術を駆使しています。寸法は直径約3cm前後で、帯締めに沿うよう計算された薄手の造形が特徴です。
細かい象嵌技法では、銅地に銀線や金線で植物・動物文様を埋め込み、切り出し彫りで線刻を重ねた複合技法が見られます。さらに一点には高彫り後に金泥を盛り上げ、研ぎ出し蒔絵のような立体感を出すなど、当時の最先端意匠が結集しています。
1. 梅鶴文象嵌帯留め
赤銅地に銀象嵌で梅花と舞う鶴を表現。鶴の羽根に金泥を散らし、吉祥の意匠としています。
2. 波濤高彫金帯留め
白銅地に深彫りで波文を刻み、金鍍金で波頭を強調。水の動きを巧みに捉えた一作です。
3. 竹虎図銀象嵌帯留め
銀地に銅象嵌で竹林と虎を描写。銀と銅の色のコントラストが鮮やかで、力強い意匠が魅力。
4. 菊花鏨彫金帯留め
赤銅地に彫金で菊花を浮き彫りし、金泥で花芯を彩色。華美ながら抑制の利いた逸品です。
評価は作家銘の有無、象嵌・彫金の鮮やかさ、金泥や鍍金の剥落の少なさ、背面や縁の磨耗程度で決まります。特に裏面に刻まれた工房銘や細工師印が鮮明なものは真贋判定が容易となり、高い評価を得ます。また、4点揃いの組み合わせはコレクション性が高く、単品よりも組での市場価値が向上します。
保存状態極上の4点揃い共箱付は300万円前後が相場です。状態良好ながら鍍金に若干の剥落がある場合は150~250万円、単品での取引は一つあたり30~80万円が目安となります。
金工細工品は湿気と塩分に弱いため、湿度40~60%、直射日光や汗が飛散しない場所で保管します。共箱は桐製が望ましく、柔らかな布で個別に包むことで金泥や鍍金の剥落を防ぎます。着用時は帯締めの金具など硬い部分と擦れないよう注意が必要です。
金工細工作家物の帯留め4点は、素材・技法・意匠のすべてにおいて江戸後期から明治期の美意識が凝縮された骨董品です。4点揃いという希少性と保存状態が評価を大きく左右し、コレクター市場では安定した高値で取引され続けています。
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