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朱塗盆は、古くから日本の食文化や茶の湯の場で用いられてきた格式高い漆器です。
今回のお品は、深みのある朱漆に繊細な金蒔絵が施された上質な五枚揃いで、時代を経た漆肌の艶と金粉の柔らかな輝きが見事に調和した逸品でした。
五枚すべてが揃い、保存状態も非常に良好であることから、歴史的・美術的にも高く評価されるお品でした。
蒔絵とは、漆が乾く前に金粉や銀粉を蒔きつけて文様を描く、日本独自の高度な漆芸技法です。
金属粉が漆と一体化して定着することで、長い年月を経ても色あせることがなく、むしろ時間とともに深みを増すのが特徴です。
特に朱塗の地に金蒔絵が施された作品は、光の角度によって表情が変化し、華やかさと静謐さを兼ね備えています。
今回の朱塗盆は、表面に松竹梅や菊花文などの吉祥文様が金粉で描かれており、祝いの場や茶会で用いられたものと考えられます。
朱漆の発色はやや落ち着いた橙味を帯び、古雅な印象を与えます。
縁の部分には細やかな黒漆の縁取りが施され、盆の造形全体に締まりをもたらしています。
裏面まで丁寧に塗りが施されており、時代蒔絵の中でも上質な仕立てが感じられる品でした。
時代蒔絵とは、江戸から明治期にかけて制作された本漆による蒔絵作品のことを指します。
現代の合成漆や模造品と異なり、当時の蒔絵はすべて天然漆と金属粉によって作られており、経年変化による味わいが大きな魅力となっています。
蒔絵には「平蒔絵」「高蒔絵」「研出蒔絵」「螺鈿蒔絵」など多彩な技法があり、職人の高度な技術力を示すものです。
今回のお盆は、金粉を滑らかに散らした平蒔絵に近い仕上げで、絵柄の線が穏やかに浮かび上がる落ち着いた趣を持っていました。
時代蒔絵の朱塗盆は、蒔絵師の技術・文様・漆の発色・保存状態によって価値が大きく左右されます。
以下のような要素が評価のポイントとなります。
今回お譲りいただいた五枚の朱塗盆は、金粉の蒔き方が揃い、形状やサイズも均整が取れていました。
また、金粉の輝きがやや落ち着き、朱漆の表面に細かな艶が見られる点から、自然な経年変化を経た時代蒔絵であることが確認できました。
このように五枚揃いで完全な状態を保つものは稀であり、コレクション・展示用としても価値の高いお品です。
今回お譲りいただいた「時代蒔絵 朱塗盆 五枚」は、朱漆の柔らかな光沢と金蒔絵の上品な輝きが見事に調和した、時代漆器の逸品でした。
五客すべてが揃い、文様・造形・保存状態の三拍子が揃った品は、美術的にも資料的にも高い価値を有します。
寿永堂では、このような時代蒔絵や朱塗盆をはじめ、茶道具・煎茶道具・根来塗・螺鈿細工・古漆器など、幅広い漆芸品の出張買取を承っております。
専門知識を持つ鑑定士が一点ずつ丁寧に査定し、時代背景・技法・保存状態を総合的に評価いたします。
蒔絵や朱塗盆などの漆器をご売却の際は、ぜひ寿永堂へご相談ください。
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