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熊谷守一(くまがい もりかず、1880–1977)は「日本のピカソ」と称される洋画家で、簡潔で詩的な画風が特徴です。代表作「ばら」は晩年に描かれた一連の花の習作の一つで、素朴かつ鮮やかな色彩と、余白を生かした構図が魅力です。骨董的には作品の制作年、署名、画面状態、額装や来歴が評価基準となります。
1880年東京生まれ。東京美術学校で洋画を学んだ後、モダンアートから離れ、対象を極限まで単純化する独自の画風を確立。1963年に文化勲章受章。花鳥画をはじめ、とりわけ色彩の透明感と線の抑制された表現が高く評価され、国内外でコレクターの注目を集めました。
本作「ばら」は、紙またはキャンバスに水彩や油彩で一輪のばらを描いた小品。花弁は厚塗りせず、筆のタッチを残したまま淡いピンクや紅色を用い、背景をほとんど白地のままにして花の存在感を際立たせています。余白の使い方は余情を生み、観る者に想像の余地を与えます。
使用画材は淡彩を得意とする水彩または薄塗りの油彩。下絵を最小限に留め、直接筆を走らせるスケッチ感覚の表現が特徴です。紙製の場合は和紙や水彩紙、キャンバス張りの場合は麻布地にジェッソを下塗りし、絵具の発色を高めています。署名・年記は画面右下に墨または青緑色で記されることが多いです。
小品の「ばら」では、署名・年記付きかつ良好な保存状態のものが300万~600万円が相場。署名が明瞭でも画面にシミやヤケがある場合は150万~300万円、裏打ちや額装の劣化が著しいものは100万~200万円になることが多いです。証明書や来歴が揃うと1.2倍程度のプレミアムが付くことがあります。
水彩画は乾燥や紫外線に弱く、UVカットガラス装着の額縁に入れ、直射日光を避けた室内で管理。湿度は50%前後・温度20℃程度を維持し、定期的に額の裏板を外して通気を行うと良好に保たれます。和紙の場合は虫食いに注意し、防虫剤を併用してください。
熊谷守一「ばら」は、作者の詩情あふれる筆致と簡潔な構図が光る名作です。署名・年記、画面状態、額装、来歴、希少性の五要素が揃うことで、骨董的価値が最大化します。コレクターやギャラリーから高い注目を集め、将来にわたり資産価値を維持し続ける逸品と言えるでしょう。
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