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煎茶器「唐人物画茶器 朱泥急須 他一式」は、十二代酒井田柿右衛門(1943–)が手掛けた名品揃いです。柿右衛門窯の伝統である色絵磁器と、中国茶席の朱泥急須を組み合わせた煎茶用具として、高度な意匠と実用性を兼ね備えています。骨董品としては、作家銘・箱書き・窯印、絵付けの精緻さ、朱泥急須の土味、保存状態、来歴資料等が評価の主要要素となります。
十二代柿右衛門こと酒井田柿右衛門は、濁手(にごしで)技法による薄手の白磁に、鮮やかな色絵を施す技で知られます。1977年に十二代を襲名し、海外での個展や受賞歴を重ねた名匠。中国・明代の色絵磁器を下敷きにしつつ、日本の煎茶道具としての軽妙さと雅趣を融合、優美で端正な絵付けが特徴です。
唐人物画茶器は、胴部に唐代の詩人・文人を描いた図柄を配し、京焼の華やかな色絵で再現。人物の表情・衣装の文様・背景の山水を細密に描き分け、釉下と釉上の重ねによる深い発色を実現しています。五客の煎茶碗、蓋碗、茶海、聞香杯が揃い、茶席に文人趣味を演出します。
朱泥急須は中国宜興窯の伝統技法を用いた手捻り製で、酸化鉄を多く含む陶土を還元焼成し、鮮やかな赤褐色の素地を出します。急須の口縁・胴部には鋳込み文様や掻き落とし装飾を施し、朱泥の肌理(きめ)が茶湯を美味しく抽出。把手と蓋摘みのバランスが良く、実用性と意匠性を両立しています。
この一式には、煎茶碗五客のほか、茶海(ちゃかい)、茶盤、聞香杯(もんこうはい)などが含まれます。茶海は煎茶を均等に分配するための器、聞香杯は香りを楽しむための小杯で、いずれも十二代作の落款と共箱付き。絵柄や朱泥との組み合わせに統一感があり、煎茶席の道具組として完成度が高い構成です。
十二代柿右衛門作の唐人物画茶器五客一式と朱泥急須他一式は、保存良好かつ共箱付きで800万~1,200万円が相場。軽微な使用痕や小補修がある場合は500万~800万円程度、来歴不明や箱欠品では300万~500万円前後となることがあります。
色絵磁器は急激な温度変化を避け、食洗機は使用不可。手洗い後は柔らかな布で水分を拭き取り、乾燥させてから仕舞います。朱泥急須は茶渋を残すことで旨味が増すため内面を研磨せず、使用後はお湯だけで軽くすすぎ、自然乾燥。共箱に戻し、湿度50~60%・温度20℃前後で保管します。
煎茶器「十二代柿右衛門 唐人物画茶器 朱泥急須 他一式」は、日本の色絵磁器と中国伝統工芸が融合した逸品です。作家銘、絵付け技術、朱泥土味、造形、保存状態、来歴資料の六要素が揃うことで真の骨董的価値が発揮され、コレクター市場や茶道具愛好家から高い評価を受け続ける逸品と言えるでしょう。
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