煎茶道具 古錫茶托 理周記老 他 買取実績

概要

理周記は中国および日本の煎茶文化において高名な錫器師の名跡であり、その作品は江戸後期から明治期にかけて上質な煎茶道具として多くの文人や茶人に愛用されてきました。

古錫の茶托は、使い込むほどに柔らかな光沢を帯び、落ち着いた風合いを増していくことから、古くより「茶の味を引き立てる器」として珍重されています。

今回の理周記老銘の茶托も、素材の質感・造形の均整・刻印の鮮明さが際立つ逸品でした。

古錫茶托 理周記老の特徴

古錫（こすず）は、時を経ることで独特の灰銀色の艶を生じる金属です。

新しい錫の白銀色とは異なり、長年の使用によって酸化が進むことで、やや鈍い灰色の輝きを放ちます。この「経年の美」が古錫の最大の魅力であり、愛好家の間で高く評価されています。

理周記老の作品は、厚みのある造りと滑らかな曲線を特徴とし、茶碗を安定して受けるための実用性と、美術品としての意匠性を兼ね備えています。

また、茶托の裏面に刻まれた「理周記老」銘は、真作を示す重要な証であり、作品の真贋判断や評価において非常に重要な要素となります。

今回お譲りいただいた茶托は五客揃いで、表面の艶が非常に柔らかく、長年使い込まれた古錫ならではの深い味わいが感じられました。

縁取りの仕上げも丁寧で、指先に吸い付くような滑らかさがあり、理周記老の高い金属加工技術がうかがえます。

加えて、他の煎茶道具（湯沸や茶入など）も一式で揃っており、当時の煎茶文化の情景をそのまま伝えるような貴重な構成でした。

煎茶文化と理周記の位置づけ

煎茶道具は、江戸中期以降に広まった文人趣味の煎茶文化を象徴する道具類です。

その美意識は、侘び寂びの茶の湯とは異なり、「清雅・中庸・静寂」を重んじるもので、器の質感や形の美しさが特に重視されます。

理周記の錫器は、明治初期には京都や長崎を中心に多く制作され、文人や知識人の煎茶席で高く評価されました。

錫は熱伝導が穏やかで、茶器を傷めずに茶の香りを引き立てることから、上質な煎茶具として理想的な素材とされています。

骨董品としての価値

古錫製の煎茶道具は、現在の骨董市場でも人気の高い分野です。

特に理周記老のように作者が明確なものは、時代・刻印・保存状態によって高く評価されます。

以下の点が価値を左右する主な評価基準となります。

• 底部や裏面にある刻印（理周記老など）の鮮明さ


• 錫の質感（自然な経年変化・艶の深み）


• 形状の整い（反りや歪みの少なさ）


• 一式で揃っているか（五客揃いなど）


• 共箱・付属品・識書などの有無

今回の理周記老茶托は、刻印が明確で、古錫独特の艶やかさが美しく残っており、保存状態も非常に良好でした。

また、他の煎茶道具との組み合わせによって、全体としての文化的価値も高く評価できるお品でした。

まとめ

今回お譲りいただいた「煎茶道具 古錫茶托 理周記老 他」は、煎茶文化の粋を体現する上質な錫器の一式でした。

古錫の持つ穏やかな光沢と理周記老の高い金工技術が融合し、実用と芸術の両面に優れた逸品です。

寿永堂では、煎茶道具をはじめ、錫器・銀瓶・金工品・古美術品など幅広い分野の骨董品を出張買取にて承っております。

豊富な知識を持つ鑑定士が一点ずつ丁寧に査定し、刻印・素材・技術・時代背景を踏まえて誠実に評価いたします。

理周記の錫器や古錫茶托など、代々受け継がれた煎茶道具をお持ちの方は、ぜひ寿永堂へご相談ください。

長年大切にされてきたお品の真価を、確かな目で見極めさせていただきます。